原文】
心の形(あら)わるる所は、尤も言と色とに在り。言を察して色を観れば、
賢不肖、人廋(かく)す能わず。


【訳文】
心が最も外面に現われるところは、言葉と顔色である。
人のいう言葉をよく推察して、その人の顔色をみると、
その人がかしこいか愚かであるかがわかるもので、
人はそれを隠すことはできないものである。


【所感】
言葉や表情は心の在り様を素直に映し出すから、言葉と表情をよく観察すれば、
その人が理解しているか否かは明確につかむことができる、と一斎先生は言います。


小生のように、営業の世界に身を置く者にとっては、心しておくべきお言葉です。


営業人がいくら言葉を飾ったり、見せかけの笑顔で対応したとしても、
お客様にはその心は簡単に見透かされてしまうものです。


さて、この言葉も解釈の深さによって、2つの捉え方ができそうです。


1つめは、心の内をすぐに見透かされない様に、言葉を慎み、
顔に出ないように努めなければならない、という捉え方。


2つめは、いくら繕ってみても、言葉や表情を完全にコントロールすることは
不可能であるから、心の内面をいつも清く正しくしておかなければならない、
という捉え方。


『論語』の言葉に


「君子は本を務む」


とあります。


心の在り方をいつも正しい位置に置くことに努めよということが、
一斎先生がもっとも伝えたかったメッセージではないでしょうか。