原文】
得意の時候は、最も当に退歩の工夫を著(つ)くべし。一時一事も亦亢竜有り。


【訳文】
自分の望み通りになった時こそ、一歩後退する配慮がなければならない。
一っ時でも一つの事でも、高く昇りつめた龍(栄達を極めた身分の者)は、総て必ず衰退の悔(かい)というものがある。


【所感】
得意の絶頂に居続けることはできない。おごれる者久しからずで真っ逆さまに転落しないように、一歩退き、人に譲る心持ちがなければならない、と一斎先生は言います。


『易経』には


亢竜悔あり


とあります。


その意味は、盈(み)つるものは必ず欠ける道理であって、決していつまでも久しくその状態を保つことはできないという意味です。


奢れる者久しからず、で退くことを考慮しておかないと、必ず悔やむ時がくると指摘しています。


また、引き際の美学という言葉もあります。


リーダーたるものは、いつも自分の引き際を考慮し、いつかは自分を超えていくであろう後進を育てなければなりません。


リーダーは孤独なのです。