【原文】
胸憶虚明なれば、神光四発す。
【訳文】
心の中がわだかまりがなく、きれいさっぱりしておれば、心の霊光が四方に輝きわたる。
【所感】
心の中にわだかまりがなければ、精神が四方に光輝く、と一斎先生は言います。
非常にシンプルな表現だけに、一斎先生の真意を読み取ることが難解な章です。
心に悪い考えが芽生えていたり、心がふさぎ込んでいるような状態では、周囲に悪い気を発散してしまうが、心が晴れやかでさっぱりしていれば、それとは逆に周囲にプラスのオーラをまき散らすことが可能である、ということでしょうか。
特にリーダーと呼ばれる人は、その組織の雰囲気(ムード)を作り上げているものです。
リーダーが快濶であれば、組織も活発となり、結果もついてくるでしょう。
一方、リーダーが暗い雰囲気を醸成していれば、組織も元気を失い、結果も出にくくなるはずです。
そういう意味では、リーダーは事あるごとに一喜一憂するのではなく、常に泰然自若でなければなりません。
これに関して、安岡正篤先生の座右の銘として知られる「六然」をご紹介します。(中国古代の学者 崔 銑(さいせん)の残した言葉と言われています。)
六然(りくぜん)
自処超然(じしょちょうぜん)
自分自身に関しては、世俗の物事にとらわれないようにすること
処人靄然(しょじんあいぜん)
人に接しては、相手を楽しませ心地よくさせること
有事斬然(ゆうじざんぜん)
何か事があるときは、ぐずぐずしないできびきびとやること
無事澄然(ぶじちょうぜん)
何も事がないときは、水のように澄んだ気でいること
得意憺然(とくいたんぜん)
得意なときほど、静かで安らかな気持ちでいること
失意泰然(しついたいぜん)
失意のときにも、泰然自若としていること
己は物事を超越し、他人には心で接し、有事の際も無事の際も、また得意のときも、失意のときも心おだやかに過ごす。
これは正に理想のリーダー像ですよね。
もちろん、小生にとっては、「得意憺然」が最大の課題であることは言うまでもありません。。。