原文】
 (しょうせん)出でて明衰え、鈔銭盛んにして明亡ぶ。


【訳文】
紙幣が発行され出してから明朝は次第に衰え始め、その紙幣が盛んに乱発され出して遂に明朝は滅亡した。


【所感】
紙幣が出されてから明は衰えはじめ、その紙幣が乱発されるに及んで明はついに滅亡してしまった、と一斎先生は言います。


明という王朝は、結局紙幣の乱発によって経済的混乱に陥り、滅亡を早めてしまったようです。


国に限らず企業においても、財政をいかに健全に保つかということが、経営における最重要事項と言っても良いでしょう。


古来、入るを測りて出を制す、と言われます。


この言葉の出展は『礼記』です。
その部分を引用しておきます。


【原文】
三十年の通を以て、国用を制し、入るを量りて、以て出ずるを為す。(王制第五) 


【訳文】
三十年間の平均で、国の予算を組み立てるようにし、まず収入を抑えてから支出の計画を立てるようにする。


実はこの教訓は個人の仕事の成果にもそのまま適用できるのではないでしょうか?


インプットなくしてアウトプットなし


です。


自分がどれだけのインプット(学習)をしているかをよく把握した上で、何ができるかを見定めなければ、ただ闇雲に仕事をしても結果が芳しいものにならないのは当然のことです。


以上のように、この章句は自分の分(分際)を弁えよ、という教えであると捉えれば、より応用範囲の広い箴言となりそうです。