原文】
養生の道は、只だ自然に従うを得たりと為す。養生に意有れば、則ち養生を得ず。之を蘭花(らんか)の香に譬う。嗅げば則ち来らず、嗅がざれば則ち来る。


【訳文】
心身を養い長寿を全うする方法は、ただ自然のままに任せておくのが得策である。もしも養生をしようとする意志がはたらくと、かえって養生にはならない。これを譬えていえば、蘭の花の香のように、香を嗅ごうとすると匂うて来ないし、嗅ごうとしないと自然に匂うてくるようなものである。


【所感】
養生の道は、ただ自然に任せておくことである。もし養生をしようとする意志があると、かえって養生にならない。これは、蘭の花の香りは 嗅げばかえって匂って来ないが、 嗅がないと自然に漂ってくるということと同じである、と一斎先生は言います。


身体を健康に保つ秘訣について書かれた章です。


ここは暴飲暴食をしても構わないというとり方ではなく、健康志向が強すぎるのも良くない、と理解すればよいでしょう。


小生も数年前に突然健康増進に目覚め、体重を落とすためにジムに通い、1年間毎月ルームランナーの上で100kmを走り続けました。


ところが最初は健康のためにと始めたトレーニングも、徐々に自分の中で義務となってしまい、なんとか1年間走り切ったところで、それ以上モチベーションが続かなくなり、結局トレーニングそのものを止めてしまいました。


卑近な例で恐縮ですが、これなどはまさに一斎先生のご指摘のとおりで、恥ずかしさを禁じえません。


一斎先生は終始一貫、大自然の法則との一致を唱えられています。


つまり、大自然(天)の声を聴け、ということでしょう。


そう考えますと、私のトレーニングも室内ではなく、外を走っていたなら、大自然の声と会話を楽しみつつ続けることができていたのかもしれませんね。