【原文】
精神を収斂して、以て聖賢の書を読み、聖賢の書を読みて、以て精神を収斂す。


【訳文】
心を引き締めて聖人や賢人の書物を読み、聖人や賢人の書物を読んで心を緊張させるべきである。


【所感】
心を研ぎ澄まして聖人賢人の書を読みl聖人賢人の書を読んで精神を磨き上げるのだ、と一斎先生は言います。


読書には二つの効能があると言えそうです。


ひとつは、心を研ぎ澄ますため、あるいは心を開放するため。


もうひとつは、自らの言行や心の緩みを是正するため。


特に最初の点は、意外と忘れがちなものではないでしょうか。


そもそも読書をするときには、批判的に読むよりも、一旦丸受けするつもりで読む方が効果的であると言われています。


森信三先生は、バケツの中にきれいな水を充たすためには、まずバケツの中にある汚れた水を捨てなければならないと仰っています。


そしてこのバケツの中の汚れた水を捨てること、つまり心にたまった垢を落とすという作業こそが、読書をする前に心掛けねばならぬことであるのではないでしょうか。


心を空にして読書をし、そしてそれによって自らの来し方を思い、是正すべきは是正して己を律する。


あらためて読書の大切さを教えてくれる箴言ですね。