【原文】
人と語るには、太だ発露して傾倒に過ぐ可からず。只だ語簡にして意達するを要すのみ。


【訳文】
人と話をする場合には、大変口数多くべらべら喋って、それに心を傾け過ぎることがあってはいけない。ただ言葉を簡単にし、意味がよく先方に通ずるようにすることが大切なのだ。


【所感】
人と会話をする際は、口数多一から十まで口に出して、のめりこむようではいけない。ただ言葉を簡素にして、意味がよく相手に伝わるように心がけること重要だ、と一斎先生は言います。


坂村真民先生の詩に


字は一字でいい 一字にこもる力を知れ
花は一輪でいい 一輪にこもる命を知れ


という名詩があります。


また孔子も『論語』の中で


【原文】
子曰わく、辭は達するのみ。(季氏第十六)


【訳文】
先師が言われた。
「言葉や文章は、思いを正確に伝えることが大切である」


と仰っています。


言葉はシンプルなほど相手に伝わります。


想いを言葉に込めて発する、そんな人間になりましょう。