【原文】
財は天下公共の物なり。其れ自ら私するを得可けんや。尤も当に敬重すべし。濫費すること勿れ。嗇用すること勿れ。之を愛重するは可なり。之を愛惜するは不可なり。


【訳文】
財は天下の公物である。それで、それを私物化することができようか。特に大切にしなければいけない。この公物を無駄使いしてはいけないし、またこれをおしむのもいけない。これを大切にするのはよいが、けちはいけない。


【所感】
財というものは天下の公共物である。けして私服を肥やしてはいけない。この点はもっとも尊重しなければならない。無駄遣いしてはいけないし、けちけちして出し惜しむのもいけない。大切にすることは良いが、惜しんではいけない、と一斎先生は言います。


昨日の続きです。


お金というものは流れていないと、澱んでしまうものです。


かといって無駄遣いをするのでもなく、世の中のために使うという心掛けが大切だということでしょう。


最近の若い人には夢がないとよく聞きます。


先日も、勤務先の研修で若手のメンバーに、「出来る限り大きな夢を語ってください」と伝えて、夢についてアウトプットしてもらったのですが、驚くほど小さい夢ばかりでした。


若いうちは働く目的がお金のためであっても良いと思います。


徐々に、働くことの意味や喜びに気づき、お金以外の目的、いわゆる志をつかんでもらえればよいのではないでしょうか。


お金が天下公共のものと気づいた時に、仕事のステージがワンランク上がるのだと思います。


研修では働く目的は何かについても質問してみました。


皆、遠慮がちに「お金のため」だと答えました。


「皆さん、採用面接のときはひとりもそんなことを言わなかったよね?」


とチクリと嫌味で笑いを取った後、


「ところで、私がもしお金の為に働いていると言ったら皆さんはどう思う?」


と尋ねました。


皆、一様に「それは嫌ですね」


そこで、私、


「でしょ。だからいつか夢を志に変えようね」