【原文】
孔・孟は是れ百世不遷の祖なり。周・程は是れ中興の祖、朱・陸は是れ継述の祖、薛(せつ)・王は是れ兄長の相友愛する者なり。


【訳文】
孔子と孟子は百世にわたっても変ることのない聖学(儒学)の始祖である。降って北宋の周濂渓と二程子(明道・伊川の兄弟)は聖学の中興の祖であり、南宋の朱晦庵(しゅかいあん)と陸象山はその後を受けついで聖学の祖述に尽くした継承者であり、明代の薛敬軒(せつけいけん)と王陽明は、親しい兄弟のような者といえる。


【所感】
孔子と孟子は永遠不滅の儒教の始祖といえる。周濂渓と程明道・伊川の兄弟は儒教中興の祖であり、朱熹と陸象山は中興された儒学を集大成した人であり、薛敬軒と王陽明は実の兄弟のように親愛の仲である、と一斎先生は言います。


中国における儒学の歴史といえる記述です。


孔子が儒教の始祖であることは疑いようがありませんが、一斎先生が孟子も含めて始祖としている点は興味深いところです。


その後、儒教の学者の間では、字句の解釈にああでもない、こうでもないと必要以上に拘ることに終始するようになります。


そこで儒教の教学をもう一度整理しようと立ち上がったのが、北宋時代の周濂渓と程兄弟です。


朱熹と陸象山は互いに切磋琢磨しながら、北宋の儒学を集大成していきます。朱熹は孔子や孟子の言葉の真意を見つめなおし、陸象山は実践に重きを置きます。


そして明代になって、王陽明が陸象山の学問を集大成して陽明学を完成させます。(薛敬軒については小生はまったく知識がありません)


考えてみれば、長命な国家も百年企業も同じような過程をたどっているのではないでしょうか?


つまり創業者が熱い志をもって立ち上げた国(企業)は、時代の変化に適応できずに危機を向かえますが、中興の祖と呼ばれる人が出て国(企業)を建て直し、再興された理念のもとに再び繁栄します。


ただし時に有能なトップが時を同じくして複数頭角を現すと、両雄並び立たずとなって、分裂するということもよく耳にします。


儒教もこのような流れを経て、今があります。


戦後、わが国において儒教は教育の表舞台からは姿を消しましたが、今なお武士道と共に日本人のDNAに深く刻まれているはずです。


小生は自業自得から大きな失敗をし、そこで『論語』にめぐり合いました。


今は『論語』をベースにした儒教の教えを、現状に適応させて取り入れ、マネジメントに活かしていこうと模索しています。


9月17日(土)には、小生が所属する永業塾のイベント(第2回ワンデー永業塾大名古屋大会)にて、『「論語」とリーダーシップ』と題して、学びと実践の一端をお披露目させていただきます。


お時間のある方はぜひお越しください。