【原文】
満を引いて度に中れば、発して空箭(くうせん)無し。人事宜しく射の如く然るべし。
【訳文】
弓を十分に引きしぼって的にあてれば、あたらない空矢はない。人間社会の物事でも、弓を射るように、よく考えてよく準備した上で断行すれば、失敗することはない。
【所感】
弓を目一杯引き絞って的を射れば、矢が当たらないということはない。人生の出来事もこの射的と同じであるはずだ、と一斎先生は言います。
先日、小生が私淑する中村信仁さんの講演で、信仁さんのお師匠さんである日高晤郎さんの言葉、
準備も仕事のうち
をご紹介されていました。
一斎先生がご指摘のように、我々が行う何事も、準備でその成否の80%は決まってしまうのではないでしょうか?
本日、小生の勤務先では、今年何度目かの採用面接を実施しました。
小生はここ数年、試験官に任命されており、そこで学生さんにちょっと意地悪な質問をしました。
「これまでに10社ほど面接試験をパスできなかったということですが、それはどこに原因があると思いますか?」
この質問をすると、ほとんどの学生さんが緊張してうまく話せなかったと答えます。
本当にそうでしょうか?
前述の中村信仁さんは、
自信がないということは、自分自身が手を抜いていることに気づいているからだ。
と言われています。
つまり、面接に通らない学生さんというのは、面接をパスした学生さんよりも準備が不足していただけなのではないでしょうか?
もちろん人それぞれに得手不得手がありますので、不得手のことを実施する際には、得意な人に比べて何倍もの準備をする必要があるでしょう。
それでも、これで大丈夫と思える準備をして臨むことが大切です。
これはそのまま我々の仕事にも当てはまりますね。