【原文】
前人(ぜんじん)謂う、「英気は事を害す」と。余は則ち謂う、「英気は無かる可からず」と。但だ圭角を露わすを不可と為す。


【訳文】
前人(程子)は「優れた気象は、やり過ぎるので、ややもすれば、物事をなすにあたって禍を招く」といった。しかし自分は「すぐれた気象は無くてはならないものである」と考える。ただ、角張った言動はよくない。


【所感】
昔の聖人は、「優れた気象は時には事をなすに当たって禍を招く」と言った。しかし私は言いたい、「優れた気象はなくてはならないものである」と。ただし、とげとげしい言動はよろしくない、と一斎先生は言います。


この「英気は事を害す」という言葉は、久須本先生は程子の言葉だとされていますが、『日本思想大系』では朱子の『孟子序説』からの引用であるとしています。小生にはその真偽のほどは分かりかねます。


ここで一斎先生が言わんとすることは、あくまでも心には熱いものを持つべきであるが、それを容易に表に出すことは控えよ、ということでしょう。


何ごとを為すにも熱い志がなければ、それが成就することはないはずです。


ただし、冷静さを失うことなく、特に言動は大いに慎むべきだと一斎先生は教えておられます。


『易経』繋辞上伝に、


言行は君子の枢機なり


という言葉があります。


言葉は君子にとって最も大切なものだ、という意味です。


小生などは心に熱いものがあるときは、言葉まで荒々しくなるという典型的な小人です。


不言実行が君子の条件であることを忘れずに、日々精進します。