【原文】
人主は宜しく敵国外患を以て薬石と為し、法家拂士(ひっし)を以て良医と為すべし。即ち国は治むるに足らず。


【訳文】
人君たる者は、外敵の侵入を病を治す薬石となし、法律を守る臣や輔佐の堅臣とを良医とするがよい。そうしたならば、国を治めることは容易である。


【所感】
君主はよく諸外国からの侵略をもって薬とし、法律に厳しい世臣や輔弼の堅士をもって良医とすべきである。そのように対処すれば、国は自然と治まるものだ、と一斎先生は言います。


法家拂士・敵国外患という言葉は『孟子』告子章句下にある言葉です。


【原文】
入りては則ち法家・拂士(ひっし)無く、出でては則ち敵国・外患無き者は、國恆(つね)に亡ぶ。然る後に、憂患に生じて、安楽に死することを知るなり。


【訳文】
内には法家・拂士がなく、外には敵国・外患のない国はおおむね亡んでしまうものである。人というものは、憂患に苦しむことによって本当の生き方が出来、安楽にふけることによって、駄目になってしまうということが分かる。(内野熊一郎先生訳)


人間も国家も、苦難に遭遇するからこそ成長できるのであり、楽をしようとすればかえって堕落してしまう、ということを誡めた言葉です。


小生が毎月学んでいる永業塾の塾長・中村信仁さんは、


楽な道と苦の道があるならば、苦の道を選べ


とおしゃっています。


その理由は、苦しく辛い道を進むからこそ、自らを鍛え、成長することができるからです。


たとえば、人間関係の達人になろうとするなら、幾多の修羅場ともいえる人間関係を経験し、心の痛みを自ら体験しなければならないはずです。


一斎先生は国家も同様なのだとおっしゃっています。


ということは、企業もまた同じでしょう。


組織のリーダーとしては、常に苦の道、つまりチャレンジングな選択肢を採り、メンバーを導いていくことが重要です。


さらに一斎先生は、リーダーたる者は、しっかりとした参謀を置いてよく意見を聴きながら、最終的な判断を下すべきだとしています。


諫言に耳を傾けることができる度量を持たねば、国も企業も己も維持することはできないのだと教えてくれています。