【原文】
相位(しょうい)に居る者は、最も宜しく明通公溥(めいつうこうふ)なるべし。明通ならざれば則ち偏狭なり。公溥ならざれば則ち執拗なり。


【訳文】
大臣の地位におる者は、最も国の事情に精しく通じ、物事を処するに当たっては、公明正大であるのがよい。事情に精通しておらなければ、一方に偏して狭くなってしまう。公明正大でなければ、頑固になって事理に通じなくなる。


【所感】
宰相の地位に在る者は、特に世の中の事情に明確に通暁し、また処理に際しては公明正大でなければならない。通暁していなければ偏りが生じ視野が狭くなってしまう。また公明正大でなければ頑固になってしまう、と一斎先生は言います。


宰相に地位にある人でなくても、人の上に立つ人であれば、やはり視野は広く、また公平な対応が必要なことは同じでしょう。


特に兆しを敏感につかむことができるかどうかは、リーダーの資質として特に重要かも知れません。


メンバーはどうしても目の前のことに没頭するあまり、虫の目でしか物事を見れなくなります。


そんな時こそ、リーダーは鳥の目で広く俯瞰的に物を見て、判断を下すことが求められます。


またリーダーは公平であるべきだと一斎先生は指摘されています。


平等と公平は違います。


平等を意識すると、悪平等となる危険性があります。


人には分際があり、皆能力が違います。


その人の能力に応じた仕事を与え、適正に評価することが公平な対応とされます。


売上を達成した営業マンとそうでない営業マンに処遇の差がなかったら、達成した営業マンは腐って真面目に仕事をしなくなるでしょうし、達成しない営業マンも何も成長しません。


リーダーは明通公溥なるべし。


覚えておきたい章句です。