【原文】
僚友に処するには、須らく肝胆を披瀝して、視ること同胞の如くなるべし。面従す可からずと雖も、而も亦乖忤(かいご)す可からず。党する所有るは不可なり。挾む所有るは不可なり。媢疾(ぼうしつ)する所有るは最も不可なり。


【訳文】
同僚の者と交際するには、心の中まで打ちあけて、あたかも兄弟のようにすべきである。媚びへつらうのはよくないけれども、そむき逆らうこともよくないことである。また、党派をつくることもよくないし、自慢するようなこともよくない。嫉みにくむということは最もよくないことである。


【所感】
同僚と交際するときは、総じて心の中をさらけ出して、兄弟のように振舞うべきである。なんでも言うことを聞くというのも良くないが、叛き逆らうのも良くない。徒党を組むのも宜しくないし、胸に一物をもって付き合うのも宜しくない。そねみにくむようなことは最も良くない、と一斎先生は言います。


昨日の上司との付き合いに続いては、同僚との交際についての箴言です。


表向きは仲良く見えるが、実際のところは相手を嫌っているというような付き合い方はよろしくない。


しかし、憎み合うような関係は更に最悪である。


まるで血を分けた兄弟のように、お付き合いをしなさい、という一斎先生のアドバイスです。


小生もよく社員さんの研修で話をするのですが、同じ会社に属する者にとっての敵はライバル企業です。


社内に敵がいるような状態では、ライバル企業に勝てるわけがありません。


むしろ、お互いを好ましく思えるような関係を築かねばなりません。


そのためには同僚の欠点には目をつむり、美点を凝視することが大切です。


ところで、美点に目を向けるようになると、多くの場合、次第に相手の欠点が気にならなくなるものです。


どんな人であっても美点と欠点を兼ね備えているものです。


美点凝視で交際すると君子の交わりが可能になります。


君子の交わりについては、『論語』為政篇の中で孔子が具体的に教えてくれています。


【原文】
子曰わく、君子は周して比せず、小人は比して周せず。


【訳文】
先師が言われた。「君子は、誰とでも公平に親しみ、ある特定の人とかたよって交わらない。小人は、かたよって交わり、誰とでも公平に親しく交わらない」(伊與田覺先生訳)


つまり、君子の交わりとは個人的な損得勘定を棄てて、公のため(会社であれば経営目標達成のため)に一致団結することを指しています。


社内に敵が居るのは小人物だよ、と孔子はズバリと指摘してくれています。