【原文】
胸次清快なれば、則ち人事の百艱(ひゃくかん)も亦阻せず。


【訳文】
心中がさわやかで気持がよければ、人間社会にあらわれる様々な苦しみや悩みも何らはばむこと無くうまく処理されていく。


【所感】
胸の中が清清しければ、人間同士の幾多の艱難に遭っても行き詰まることがない、と一斎先生は言います。


心理学者のA・アドラーは、


人間関係の悩みはすべて対人関係の悩みである 


と喝破しています。


人間関係の問題や悩みを解決するために重要なことは、


課題の分離


をすることです。


まず他人の課題に介入しないこと、そして自分の課題については断固として他人に介入させない、という意識が重要です。


たとえば、勉強をしない子供を叱る母親がいます。


この場合、勉強するかしないかは子供の課題です。


親がやるべきことは、強制的に勉強をさせるのではなく、勉強の必要性を説き、やる気になればいつでも支援をすることを伝えることです。


自分の課題であるにも関わらず、他人からの介入を許して悩んでいる人の多くは、それが自分の課題であって他人の課題ではないことを理解していません。


そうなると人は自分ではなく他人の人生を生きることになってしまう、とアドラーは言います。


では、課題の分離ができたら何をすべきか。


次にアドラーは不完全な自分を認めよ(自己容認)と言います。


不完全な自分を認めることで、他人をありのままに受け入れることが可能になります。


周りの人が仲間だと思えるようになれば、そこに共同体感覚が芽生え、その中で自分が貢献していること(自己貢献感) を見つけることができれば、良好な対人関係を築くことが可能になります。


胸次清快とは、課題の分離ができている心の状態と解釈しても間違いではないでしょう。