【原文】
凡そ剛強の者は与し易く、柔軟の者は怕る可し。質素の者は永存し、華飾の者は剝落す。人の物と皆然り。


【訳文】
大体、気性の堅くて強い人は仲間に入れ易いが、気性の柔弱な人は恐るべきである。飾らない質朴な人は永続きするが、華やかに飾り立てた人ははげ易い。人についても物についても総てこの通りである。


【所感】
概ね、気性が勇猛で強い人は与し易いが、気性の柔軟な人は恐るべきである。飾らない質朴な人は永く栄えるが、華やかに飾り立てた人は没落し易い。人にも物にも言えることだ、と一斎先生は言います。


前半部分は小生にも心当たりがあります。


気性が剛強な人は概して、竹を割ったような性格で、モノの良し悪しをシンプルに判断します。


ところが、性格の軟弱な人は、決断力に乏しいだけでなく、時にまさかといった裏切りをやってのけることがあります。


たとえば、従順なイエスマンを装っていた人物がリーダーに反旗を翻すというのは、古今東西によくある事例です。


後半部分は、質素倹約を旨としていれば、大きな富は得られないかもしれないが、人生は安泰だ、ということでしょう。


人は急成長すると、どうしても驕りが出たり、今までと違う判断をしてしまい、坂道を転げ落ちてしまいがちです。


どんな人と付き合うべきかをよく考え、自らは質素倹約で過ごす。


これが人生を上手に生き抜く要諦なのでしょう。