【原文】
文章は必ずしも他に求めず。経書を反復し、其の語意を得れば、則ち文章の熟するも、亦其の中に在り。


【訳文】
うまく文章を書くには、別に他の本を求めて知る必要はない。四書・五経などを何度も繰り返し熟読して意味がわかるようになれば、文章の上達は自然に其の中から得られるものである。


【所感】
文章を上達させるために他の書を探し求める必要なない。四書・五経を繰り返し読み、そこに掲載された言葉の真意を理解できれば、自然と文章は上達するものである、と一斎先生は言います。


よい文章を書くには、よい文章を繰り返し読めばよい、ということです。


たくさんの文章を濫読するより、ひとつの文章をしっかりと繰り返し読む、それも声に出して読むことが重要です。


これは、小生が毎月参加している永業塾における中村信仁塾長からの教えでもあります。


では、どんな文章を選ぶべきか? 


永業塾では、文豪森鴎外の『高瀬舟』を繰り返し読むことが推奨されています。


世界的に評価の高い文豪の文章を繰り返し声に出して読む。


その際には、その情景を頭に浮かべ、なぜ著者はこの言葉を使ったのか、なぜこういう表現を使ったのかを考えながら読むと理解が深まります。


このとき、永業塾で学んだ大切な教えとして、 


句読点に忠実に読む 


ことが推奨されています。


会社の研修で、社員さんに文章を読んでもらうと、自分の好きなところで勝手に読点を入れて読む人があまりにも多いことに驚かされます。

文豪の文章には、句読点一つひとつにも、重要な意味が込められています。


句読点を意識することもまた、文章上達の秘訣と言えるでしょう。


一斎先生の時代には、経書が最適だったのでしょうが、現代においては、漢字書き下し文の経書を読むよりは、『高瀬舟』などの現代の文豪の文章を学ぶことが時代に適しているように思います。