【原文】
人君たる者は宜しく下情に通ずべきは固よりなり。人臣たる者も亦宜しく上情に通ずべし。不(しか)らざれば、諫諍(かんそう)も的ならず。


【訳文】
人君たる者は、下々の実情に通じなければならないことはもちろんであるが、君主に仕える臣下たる者も、上の事情に通ずるのがよい。そうでなければ、人君を諫める場合にも的外れとなってしまう。


【所感】
人の上に立つ者は、つねに部下の人たちの実情を把握しておくべきである。また、部下の人たちも上に立つ者の実情を理解しておく必要がある。そうでないと、上位者を諌める場合にも的を外してしまう恐れがある、と一斎先生は言います。


この章句はリーダー論として読んでも学ぶものがあります。


ただし、自分の組織のメンバーについては、知ることができる範囲でプライベートまで把握しておくべきだということは、すでに何度か記載してきました。


そこで今回はフォロワーシップについて考えてみます。


たしかに、上司は指示命令を下す人だとみている部下は、上司の実情を理解せずに、一方的に反感を抱いたり、不満をぶつけてしまうのではないでしょうか? 


トップマネジメントでない限り、リーダーも中間管理職であって、上司と部下との板ばさみになっているケースがほとんどでしょう。


そのとき、部下がたったひと言「リーダーも大変ですね。」という言葉を添えるだけで、諫言が取り入れられる可能性も格段に高まるのではないでしょうか? 


かく言う小生は、これがほとんどできておりませんでした。


直情型でストレートに自分の意見をぶつけてきた結果、諫言が取り入れられないどころか、煙たがられて遠ざけられてしまうことも度々ありました。


大いに反省すべき点です。


メンバーだけでなく、上司のプライベートや置かれた境遇などを理解することは、人間関係を円滑にし、その結果仕事を効率よく進めることができる秘訣なのでしょう。