【原文】
人主は宜しく大体を統ぶべく、宰臣は宜しく国法を執るべし。文臣は教化を敷き、武臣は厲(はげ)まし、其の余小大の有司、各々其の職掌を守り、合して以て一体と為らば、則ち国治むるに足らず。


【訳文】
人君たる者は、国政の大体を掌握すれば宜しく、宰相(家老)たる者は国の法律を正しく執り行うがよい。文官の職にある者は国民を教え導いて善に進ませ、武官の職にある者は武士を励まして士気を鼓舞し、その他諸々の役人達は各々その職分を守り、君民上下一体となって事をなしていけば、国を治めることは容易である(国は自然と治まっていく)。


【所感】
君主は国政の大局を統治すべきであり、宰相は法律を正しく執行させることを旨とすべきである。また文官は民衆を教え導き、武官は武士を励まし、残りの各種役人はそれぞれ自分の職分を全うし、こうして互いに一致団結していれば、国を治めることはけっして難しくはない、と一斎先生は言います。


この章句はそのまま企業に置き換えることができそうです。


社長は会社の大局を把握し、役員は会社のルールを正しく実行させ、部課長は社員さんに適切な研修と教育を行い、営業マンを励まし、その他のマネージャーは自分の持ち場をしっかりと守ることで、一致団結できるならば、会社を発展させることは難しくない。


このように読み替えることができます。


ところが、小生が見てきたり、話を聞いた企業の中には、社長が細かいことにまでいちいち口を出したり、逆にミドルマネジメントに経営戦略を練らせたりと職分が乱れている会社が多いようです。


特に、マンジメント層が兼務をせざるを得ないような中小企業において顕著な傾向といえそうです。


職分を守るのは当然のことですが、ここで気をつけておくべきは、守備範囲を狭め過ぎることで、ポテンヒットが生まれないようにしておくことでしょう。


つまり、トップマネジメントとして心がけるべきは、各部門の職掌が少しずつ重なるように職務を割り当てることだと言えます。


各部門長がしっかりと自分の仕事を守っているのに、ポテンヒットが生まれる状況の責任は、トップマンジメントにあるということを理解しておきましょう。