【原文】
非常の士此に有らば、宜しく能く攪(と)りて之を用うべし。我れ之を攪れば則ち吾が用となる。大用する能わずと雖も而も亦世の観望ならん。若し渠(かれ)をして親昵(しんじつ)を得ざらしめば、則ち必ず他人の有とならん。翅(ただ)に吾が用を為さざるのみならず卻って害有り。


【訳文】
ここに勝れた人物がいたならば、よく取り入れて用いるがよい。自分がその者を取り用いるならば、彼は自分の用をなすものとなる。彼を大いに用いることができなくとも、世間にみせびらかすことができる。もしも彼を親しみ近付かしめることをしなかったならば、彼は必ず他人に用いられることになる。そのようになれば、彼はただ自分のためにならないだけでなく、かえって自分に害をなすことになってしまう。



【所感】
優秀な人材があれば、必ず掌握し登用すべきである。自分がこの人物を用いれば我が為となる。仮に重用はせずとも世の注目を浴びることにはなるであろう。もしその人物を親しくなつかせることができなければ、必ず他人に用いられることになろう。そうなれば、たた自分の役に立たないだけでなく、かえって大きな害悪となる可能性もある、と一斎先生は言います。


新年、明けましておめでとうございます。
今年はいよいよ全章を読了する日を迎えます。
引き続きよろしくお願い申し上げます。


さて、新年最初の章句ですが、ここも人材活用についての言葉です。


優秀な人材は得てしてプライドも高く、また自信に満ち溢れていますので、上長からすると扱い難い部分もあるでしょう。


しかし、せっかく近くにいる優秀な人材を個人的な好き嫌いで活用しないようでは、かえって器の小ささを見透かされてしまいます。


また、それに留まらず、たとえばライバル企業に引き抜かれるなどで、大きな損害を与えることすらあり得ます。


こういう時にリーダーとして必要な心得は、人物の性格ではなく、能力に焦点を当てて、その能力が最大限に発揮されるような仕事と正当な報酬を与えることです。


必ずしも地位を与える必要はないということです。


今年の大河ドラマの主役は西郷隆盛公です。


この西郷さんの有名な言葉があります。


【原文】
如何に国家に勲労あるも、其の職に任へざる人を、官職に以て賞するは甚だ誤れり。官は其人を選びて之を授け、功有れば之を賞し、之を愛すべし。是れ徳と官と相配し、功と賞と相対するの義なり。


【訳文】
いかに国家に功績があったとしても、その役職に適当でない人を官職に登用することは大きな誤りである。官職については適任者を選んで与え、功績があった者にはこれを表彰して俸禄を与え、愛すべきである。これが官職には徳を配し、功績には禄で報いるということの意味である。(小生訳)


役職を与える際には徳のある人物を採用し、功績に対しては賞与などの報酬で対処せよ、ということです。


皆さんは身近にいる有能な人材をしっかりと寵愛し活用できていますか?