今日の神坂課長は、総務部の西村部長の自宅にお邪魔しているようです。

2人はハイボールを飲みながら、西村部長お薦めのYouTubeの動画を観ています。

「神坂君、この動画を観て欲しいんだよ。ソフトボックスの孫会長の講演なんだけどね。自分の生い立ちを語りながら涙を流すシーンが感動的でね」

西村部長が映像のスタートボタンをクリックしました。

「私は日本人以外の血が流れていることをコンプレックスに感じていました。それで一時期、大好きだった祖母が大嫌いになったんです。そんなとき父が倒れ、家族の危機が訪れました。その頃ちょうど『竜馬が行く』を読んだんです」

孫会長は淡々と語ります。

映像では孫会長はまだ涙を流していないのですが、すでに西村部長は目頭を押さえています。

「そのとき私は、アメリカに行って勉強して事業家になろうと決めました。一時的な解決策ではなく、自分が家族を支えるにはそれしかないと考えました。家族も周囲も皆反対しました。
お前は自分のエゴのために行くのかと罵倒されました」

西村部長はすでに涙が止まりません。

「私は違う!と言い返しました。家族のためにアメリカに行くのだ。そして、もうひとつ言うなら、孫義の名で立派な事業家になって、人種なんて関係ない、みんな人間なんだということを証明したいんだ、と言いました」

ここでは孫会長も涙声です。

会場からは大きな拍手が起こっています。

「そして、自分がアメリカに渡る前に祖母の祖国を見ておこうと思って、祖母と一緒に旅をしました」

孫会長も泣いていますが、西村部長はもう嗚咽を抑え切れません。

「祖母は、一緒に行ってくれるのか、といって大変喜んでくれました。祖母はいつもこう言っていました。『人様のお陰だ。誰かが助けてくれた。人を恨んではいけない』と」

神坂課長も涙を拭いながら聞いています。

「そんな思い出があるから、私はお金よりも地位や名誉よりも、人様のお役に立つために事業をしようと決めたんです。会ったこともない、誰かわからない少年少女のために、私は力を尽くします」

孫会長はお辞儀をし、そこで映像は終わりました。

「神坂君、孫さんは立派な人だよね。僕はこの映像を見るたびに涙が止まらなくなるんだ」
涙で目を真っ赤にしながら、西村部長がハイボールを飲み干しました。

「たしかに、感動しました。こういうバックボーンがあるから、命を懸けて世の中のために働いてこられたんですね。自分の志の小ささを痛感しましたよ」

「うん。でも、我々の仕事だって間違いなく世の中に貢献している。しっかりやろう!」

「はい。それに、今日私は西村部長の心の純粋さも感じました。あんなに涙を流している西村さんは始めてみましたから」

「自分の過去と重なる部分もあるからなぁ。でも、人間だからね。悲しいときには涙を流して泣き、嬉しいときには満面の笑顔を浮かべるという生き方をしたいじゃないか

「さすがです。薄情の反対は、厚情っていうんですかね? 西村さんの厚情を感じました」

「お客様にもメンバーにも厚情をもって接していこうな、神坂君!」

「はい。赤鬼の目にも涙。いやー、感動したな」

「やかましいわ!」


ひとりごと 

ここで取り上げたのは、もちろんソフトバンクの孫正義会長の講演です。

実際にYouTubeで観ることができます。

貧しい生い立ち、そして異国の血が身体に流れていることへのコンプレックスをバネにして、這い上がった孫会長の志を感じて感動します。

ぜひ、ご一覧ください。


原文】
坤(こん)厚く物を載す。人当に之を体すべし。喪を哀み祭を敬するも、亦一厚字の裏面より出で来る。〔『言志録』第231条〕

【意訳】
『易経』坤爲地の卦に「坤は厚くして物を載す」とある。これは大地は広くして厚く、動物、植物、鉱物など万物を載せている、という意味である。人間もこれを体得すべきである。葬儀を悲しみ、祭を敬するのも、同じく人間の厚さから生まれてくるのである

【所感】
リーダーは常にメンバーに対してもお客様に対しても、大地のような厚情をもって接すると良い。


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似顔絵さがそ より
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