今日も神坂課長は、佐藤部長の部屋に来たようです。

「昨日、あれから家に帰って、部長の言われた『言志後録』の言葉を読んでみました。」

「すばらしい。感即動だね」

「ありがとうございます。それで何気なく次の章を読んだら、そこにはリーダーとしては、公・正・清・敬の四字を大切にし、私・邪・濁・傲の四字を遠ざけるべきである、と書かれていました

「ああ、その八つの文字の話は心に刻んでおくと良いよね」

「はい。ただ、昨日の部長のお話を聞いて、一斎先生が良くないと言っている私・邪・濁・傲の四字について、自分自身がそうあってはいけないと思いますが、メンバーに対してはある程度まで許していくことが大事なんだなと気づいたんです

「そのとおりだね。それが一斎先生の言う、『春風をもって人に接し、秋霜をもって自ら慎むということだよ」

「はい。清濁併せ呑むということもよく言われますからね。そこが私の苦手なところです。きれいごとが大好きな男ですから」

「自分自身に対しては、徹底的にきれいごとを貫くべきだと思うよ。神坂君は他人の目を気にせずにそれをすることができる。そこは私も見習わせてもらっているよ」

「恐縮です」

「ただし、特に若いメンバーに対しては、焦ることなく、少しずつ神坂君の信じる正しい方向へと誘(いざな)うことが大切なんだよね」

「はい。みんな個性がありますから、そこをよく理解していくことが大切なんだなと気づきました」

「神坂君、すぐにそこまで理解してくれてありがとう。間違いなく君自身も成長しているよ」

「そういう方向へいざなってくれたのは佐藤部長です。部長には感謝と尊敬の気持ちで一杯です」

「ありがとう。そう思ってくれるなら、それをぜひ次の世代へ引き継いで欲しいな」

「ご恩送りですね! 精進します。では、これで失礼します」

「(あと少しだな)」

佐藤部長は、去っていく神坂課長の後姿を眺めながら、心の中でそうつぶやいたようです。


ひとりごと 

本章で一斎先生が取り上げた8つの文字については、リーダーとしてしっかりと心に留めておくべきですね。

そして、一日の終わりに、「好ましい四字を守ることができたか、好ましからざる四字を犯していないか」と反省すると良いでしょう。

小生は、さっそく今晩から実践します!


原文】
官に居るに、好ましき字面四有り。公の字、正の字、清の字、敬の字。能く之を守らば、以て過無かる可し。好ましからざる字面も亦四有り。私の字、邪の字、濁の字、傲の字。苟も之を犯せば、皆禍を取るの道なり。〔『言志後録』第14章〕

【意訳】
官職に就く者にとって好ましい文字が四つある。公・正・清・敬の四字である。この四つを守れば、過ちを犯すことはないであろう。また好ましくない文字も四つある。私・邪・濁・傲の四字である。かりにこの四つのいずれかを犯せば、みな禍を招くことになるであろう

【ビジネス的解釈】
人の上に立つ者は、公・正・清・敬の四字を大切にし、私・邪・濁・傲の四字を遠ざけるべきである


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