今日の神坂課長は、仕事を終えて、佐藤部長と一緒に「季節の料理 ちさと」に来たようです。

「ママ、あけましておめでとう。今年もよろしく!」

「あら、佐藤さんと神坂君。あけましておめでとうございます。今年もご愛顧のほど、よろしくお願いします」

「ママ、お店は4日から開けてたの? 働くねぇ」

「4日から仕事始めのお客様も多いからね。新年会はぜひウチで思いまして。お二人の会社にはスルーされたけど・・・」

「うっ、新年早々厳しいね。でも、俺の飲み始めは、今年もこのお店からだよ」

「ありがとうございます。まずはビールね?」

ママは料理の準備で厨房に入っていったようです。

「そういえば昨日、書店に行ったんですけど、『日本国紀』という本が売れているんですね」

「ああ、百田尚樹さんの本か。実はまだ読んでいないんだよね」

「私も気にはなったのですが、昨日は別の本を買ったので、一旦はやめておきました」

「あの本も賛否両論あるようだね。まあ、歴史観というのは人それぞれ皆違うからね。客観的に史実を列記した歴史書は、世の中に存在しないのかも知れないよ」

「なるほど。でもやっぱり歴史のことは勉強しておくべきですよね?」

「うん、一斎先生もそう言っている。人間一人の体験は限られたものだから、それを補う意味で歴史を学ぶべきだ、とね。特に歴史から学ぶべきは、人心の掌握と国の存亡だとも言っているよ

「そうかぁ。実は昨日、サイさんから『易経』と『書経』を読むと良いと言われましてね。それだけでも大変なのに、さらに歴史となると・・・。死ぬまでに読み終わるかな?」

「ははは。有名な歴史書と言えば、司馬遷の『史記』だろうけど、あれこそ膨大な書だからね」

「まあ、ボチボチいきます」

「日本の正史とされるのは、六つあるんだけど、その中でも『日本書記』は読んでおくと良いかもね」

「ありがとうございます。とりあえず頭の片隅に置いておきます」

ママが生ビールとお通しをもって戻ってきました。

「ママは、『日本書記』って読んだことある?」

「神坂君、私の愛読書は、『古事記』と『日本書記』なのよ。私はその2冊から日本人の心を学び、お客様へのおもてなしの心を学んでいるの」

「ママ、あなたは何者なの!? 神話からビジネスを学ぶ小料理屋のママは、世界広しといえども、きっとちさとママだけだよ」

「光栄ですわ」


ひとりごと
 
歴史を学ぶ必要性については、今更言うまでもありません。

では、何を読むかとなると、これはなかなか難しいですね。

日本人ならやはり『古事記』と『日本書記』になるのでしょうか? (『古事記』は正史とはされていませんが)

中国史となれば、やはり『史記』でしょう。 

時間がいくらあっても足りません!


原文】
人の一生の履歴は、幼時と老後とを除けば、率(おおむ)ね四五十年の間に過ぎず。その聞見する所、殆ど一史にも足らず。故に宜しく歴代の史書を読むべし。上下数千年の事迹、羅(つら)ねて胸臆に在らば、亦快たらざらんや。眼を著(つ)くる処は、最も人情事変の上に在り。〔『言志後録』第48章〕

【意訳】
人間の一生は、幼少時と老後を除けばたかだか四、五十年に過ぎない。人一人が見聞することは、ほとんど王朝一代の歴史にも及ばないものである。だからこそ歴史書を読むべきなのである。それによって数千年の出来事が自分の胸中に納まるならば、これほど愉快なことはないではないか。特に注目すべきは、人心の機微と出来事の変わり目であろう

【ビジネス的解釈】
自分の体験から学ぶことは貴いが、限界がある。それを補う意味で歴史書を読み、過去の出来事を自分の疑似体験としておくとよい。

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