営業2課の善久君が落ち込んでいるようです。

「おいおい、善久。新年早々、なんでそんなに浮かない顔をしているんだ?」

「神坂課長、ガンちゃん(営業1課の願海君。善久君の同期)がまた1件受注したらしいんです。どんどん置いていかれます」

「何を今更言っているんだ。お前は常に同期では第三の男じゃないか」

「酷すぎます! そういうときは普通、慰めたり、勇気付けたりするのが上司じゃないんですか?」

「俺は普通じゃないからな。善久、他人と比べるな。お前はこの仕事で何を実現したいのか、それだけを考えて、ベストを尽くせ

「・・・」

「いいか、善久は善久。願海は願海。石崎はインフルエンザだ」

「全然面白くないです・・・」

「つれない奴だな。とにかく、自分のお客様のお役に立つことだけを考えればいいんだ。外のことに心を奪われると、お前の大切なお客様まで失うことになるぞ

「でも、ガンちゃんもザキも最近調子が良くて、私だけが伸び悩んでいるのが悔しいんです」

「悔しいとか負けたくない、と感じることは良いことだ。だったら落ち込まずに、今やれることを考えろ!」

「今やれることですか?」

「そうだな、今までにお前がやったことのないことをやってみろ。自分で伸び悩んでいると感じるなら、そのやり方が拙いだけだ」

「そうなのかな?」

「もし、願海と石崎にお前より勝っている点があるとすれば、お客様のお役に立とうとする想いの強さじゃないのか? 本気で考えれば、アイデアなんてどんどん湧いてくるものだぞ」

「どんなことをすると良いのでしょうか? 全然頭に浮かびません」

「たとえばだ。今お前は、西川医院さんの商談をクロージングしようとしているよな。ところが今、開業医さんはインフルエンザの対応でてんてこ舞いだ」

「そうなんです。とても商売できる環境にないんです」

「そうだよな。そういうときは、外来の一番最後にアポをとれ。それで院長と面会したら、強烈に効く栄養ドリンクを1本渡して、『先生、お疲れさまでした』と言って帰って来い!」

「商売はしないのですか?」

「同じ質問を西川先生もするだろう。そうしたらこう言うんだ。『インフルエンザが落ち着いたら、御注文を頂きに参ります』ってな」


ひとりごと
 
人間は常に誰かと比べて優劣を判断してしまう生き物なのかも知れません。

自分が持っていないものを持っている人を羨ましがり、自分より職位が下の人を蔑みます。

しかし、他人は他人です。

私たちは、自分の人生を生きているのであって、他人の期待に応えたり、他人に評価されるために生きているのではないのです。

常に自分の心を信じ、自分の心と会話をしていくべきなのです。


原文】
人、須らく心の腔子の裏に在るを認むべし。また須らく心の腔子の外に在るを認むべし。〔『言志後録』第52章〕

【意訳】
心は胸の内にも、また胸の外にもあるということを理解しておくべきである

【ビジネス的解釈】
自分の外にあることに心を奪われると、良い結果を得ることはできない。少なくとも重要な判断については、自分の心の内に問いただすべきだ。


illustrain10-bijinesu01