神坂課長は、佐藤部長と一緒に「季節の料理 ちさと」にいるようです。(昨日の続きです)

「はい、お待たせしました。今日は今が旬のあんこうでおもてなしを致します」

「おー、いいね。あんこう最高!」

「まずは、あん肝の酒蒸しとあんこうの唐揚です」

「いただきます。うーん、これは旨い、旨過ぎる!」

「意外と唐揚もおいしいんだね?」
佐藤部長も舌鼓を打っています。

「皮も一緒に揚げているから、コラーゲンもたっぷりです。まあ、お二人にはあまり関係ないかも知れないけど、女性は喜ぶのよ」
ちさとママは別のお客さんの対応で厨房に戻りました。

「先ほどの話ですけど、考えてみると、世の中の本物といわれる人物は、みんな謙虚で思いやりのある人が多いですよね」

「うん。内面が充実している人は、あえて外面を飾る必要がないからね」

「大声をあげてメンバーを押さえつけるような人間は、実は自分の内面が充実していないことに自分自身で気付いているのでしょうね。まさに少し前までの私がそうだったわけですが・・・」

『太上(たいじょう)は下(しも)これあるを知るのみを目指したいね」

「『老子』ですね。ただ上に居るだけで、下が自然に治まる。私から見たら佐藤部長は、そういう存在ですよ」

「いやいやそれは褒め過ぎだよ。まだまだそんなに内面が充実しているとは思っていないよ」

「そういう謙虚さもやっぱり尊敬します」

「なんだか今日はいやに褒めるじゃない」

「謙虚と素直が今年の行動指針ですから」

「はい、お待たせ。メインはもちろんあんこう鍋です。あん肝を煮汁に溶いて濃厚なスープに仕上げています。あんこう鍋には根菜が合うから、ごぼう、だいこん、にんじんをたっぷり入れてあります」

「うわぁ、やっぱりあんこう鍋は冬の定番だなぁ。肝が溶け込んだスープが最高! あんこうって見た目はグロテスクだけど、内面は充実してるよなぁ。俺もあんこうを目指そう!」


ひとりごと
 
『易経』に関連する章句が続きます。

この章では、身体を乾坤の卦から説き起こし、身体と天地と相通ずる有様を易の各種卦の解釈から説明している、と徳永岫雲斎翁は解説しています。

詳しくは、易の六十四卦をご欄頂き、卦象を見比べながらご理解頂ければ幸いです。


原文】
面背は又各おの三段に分つ。乾の三陽位、前に在り。初を震(しん)と為し、中を坎(かん)と為し、上を艮(こん)と為す。坤の三陰位、後に在り。初を巽(そん)とし、中を離と為し、上を兌(だ)と為す。其の陽の顔面に在る者は、之を背上・身柱に収め、陰と相代れば、則ち前兌・後艮を成して、面冷かに背暖なり。胸陽之を背中・脊髄に収めて、陰と相代れば、則ち前離・後坎を為して、胸は虚にして背は実なり。腹陽之を背下・腰上に収めて、陰と相代れば、則ち前巽・後震を成して、腹は柔らかにして気を蓄え、腰は剛くして精を聚(あつ)む。前の三陽皆後の三陰と相代れば、則ち函(かん)して前坤・後乾を成し、心神は泰然として呼吸は天地と通ず。余は艮背の工夫より之を得たり。〔『言志後録』第57章〕


【意訳】
面冷背暖、胸虚背実、腹柔蓄気・腰剛聚精を良しとし、前坤・後乾の状態となれば心神泰然である。(この章も訳が掲載されておりませんので小生のつたない解釈を掲載します)

【ビジネス的解釈】
他者と接する部分は、常に虚をもって自分の心を空にして接し、見えない部分を充実させるように努めれば、心身ともに宇宙の摂理に適い、ビジネスにおいても成果をあげることができる。


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