今日の神坂課長は大累課長とランチ中のようです。

「サッカー日本代表、勝ちましたね。メンバーを10人入れ替えて勝ったのは大きいですよね」

「前回の反省を活かしたな。前回は同じメンバーで4戦連続で戦った結果、最後はスタミナ切れで力尽きた感じだったからね」

「ただ、やっぱりカウンターへの対応は課題ですね。最初の失点もそうでしたし、その後も何度か危ない場面がありましたから」

「いわゆる瞬発力という面で日本人はやや劣っているのかね。一瞬で置いていかれるというケースが多いよな」

「ここからは負けたら終わりですから、しっかり修正して欲しいですね」

「そうだな。ただ、最後のコーナーキックの場面では、だいぶディフェンス陣を残してカウンターに備えていたよな」

「ああ、そうでしたね。あの場面は1点リードしていたので、攻撃力は落ちるのを覚悟で守りを強化したのでしょうね」

「どうしても攻めているときというのは、みんな前のめりになるからな。どこかで退くことを想定しておくべきなんだろう」

「たしかに、そうですね。でも、それってサッカーに限りませんね。我々営業部門も前のめりで営業をしてしまうと、敵の逆襲への対応が遅れるというリスクはある気がします」

「なるほどな。サッカーを仕事に結び付けて考えるなんて、大累もなかなかだな」

「あれ? 珍しく褒めてくれるんですね」

「俺の今年の行動指針は『謙虚と素直だからな。言われてみれば、お前も俺も、どちらかと言えば『イケイケドンドン』タイプだからな。気がつくと守備を忘れて攻めているなんてことは多いかもな」

「残念ながら否定できません」

「ただそういう意味では、ウチには強力なセンターバックがいるから安心だな」

「佐藤部長ですか?」

「うん。扇の要とはああいう人のことを言うんだろう。しかし、いつまでも佐藤部長にばかり守備を任せておくのは考えものだな。俺たちも成長しないと」

「かつての神坂さんは、自分さえゴールを決められればチームは負けてもいい、というスタンスでしたもんね」

「よく言うよ。お前だって、俺よりゴールの数が多いか少ないかしか興味がなかったくせに!」

「そんな私たちが課長ですから、この会社は大丈夫なのかと心配になりますね」

「自分で言うな! でも、そう思われないように、しっかりマネジメントも頑張ろう。俺たちはそろそろフォワードは後輩に譲って、守りを意識したチームワークづくりに励まないとな!」


ひとりごと
 
『退歩を学べ』(佼成出版社)という本があります。

これはロボット博士の森正弘さんの著書です。

この本の中で、著者は、「退歩なくして真の進歩はあり得ない」と言っています。

常に、一歩下がる余裕をもっていると、仕事も人生もうまく行くのかも知れませんね。


原文】
進歩中に退歩を忘れず、故に躓かず。臨の繇(ちゅう)に曰く、「元(おお)いに亨る貞(ただ)しきに利(よ)ろし。八月に至りて凶有り」〔『言志後録』第59章〕

【意訳】
人は好調のときにも、退くことを忘れなければ躓くことはない。『易経』の臨の卦に「元いに亨る貞しきに利ろし。八月に至りて凶有り」とあるのは、それを意味しているのだ

【ビジネス的解釈】
常に退歩を想定してビジネスを進めるべきである。引き際を誤ると、大きな損失を蒙ることになる。

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