今日の神坂課長は、出張の佐藤部長に代わって中途社員採用面接の面接官を務めたようです。

終了後に同期の人事課鈴木課長と応接室で片付けながら雑談をしてます。

「鈴木、30分程度でその人物を判断するというのは難しいな」

「わかってくれるか、神坂。毎回、試行錯誤しているけど、反省ばかりだよ」

「特にビッグマウスの奴が難しいな。自信満々に過去の成功を語られると、全面的に信じそうになる。だけど、冷静に考えてみれば、それならどうして会社を辞めたの、ということになるよな」

「面接では自分の欠点を隠そうとして、かえって大きなことを言ったり、自信があるように見せようとする人もいる。そういう人物は、実は、小人物で臆病だったりするから採用すると大変なんだ」

「ビッグマウスは、自信のなさの表れってことか。ちょっと耳が痛い」

「おっ、神坂、成長したな。よく自分を分析しているじゃないか」

「やかましいわ! 俺はビッグマウスじゃなくて、本当にビッグなんだよ!」

「今時、自分のことを『ビッグ』なんて言うのは、永ちゃんとお前くらいだな」

「うるさいな。でもさ、面接ではどうしてもそういう人の方が採用されやすくなるんじゃないのか?」

「そうなんだよ。本当は、大きなことを言わず、自慢話も語らず、自分の信念をしっかりと語るような人が、実は大人物で優秀だったりするんだ。しかし、そういう人は一見目立たないからな」

「それで、この採用基準表があるんだな。たしかに親孝行かとか、親族以外で尊敬している人は誰かとかを
把握するというのは、その人の内面を視るには良いよな」

「まだまだバージョンアップが必要だけどな」

「鈴木、今まで悪かったな。ちょっと若手が問題を起こすと、採用した奴が悪いなんて言ってさ」

「わかってくれればいいさ。これからは一緒に、将来を担う若者を発掘し、育てていこうぜ」

「そうだな。ところで以前に西村部長が、俺を採用したのはただ一点、親孝行な若者だと判断したからだと言ってたよな。みんな見る目がないよな、他にも良いところを見つけられなかったのかね?」

「えっ、他に何がある?」


ひとりごと
 
大言壮語の人というのは、実は自分に自信がないのだ、というのはその通りかも知れません。

部下を厳しく叱りつけたりするのも、リーダーとしての自信のなさの表れなのでしょう。

小生には大いに心当たりがあります。

また、人を見抜く場合にも言葉に騙されないようにしたいものです。

しかし、それもまた難しいことです。

なにせ、あの孔子ですら、弟子の宰我を見抜くことができなかったと後悔しているくらいですから。


原文】
好みて大言を為す者有り、其の人必ず小量なり。好みて壮言を為す者有り、其の人必ず怯愞(きょうだ)なり。唯だ言葉の大ならず壮ならず、中に含蓄有る者、多くは是れ識量弘恢(こうかい)の人物なり。〔『言志後録』第68章〕

【訳文】
あえて大きな事を言う人がいるが、そういう人は必ず小人物である。あえて意気盛んな言葉を発している人もいるが、そういう人は必ず臆病な人物である。言葉は大き過ぎず、勇まし過ぎもせず、含蓄のあることを話す人は見識も博く、度量も寛大な人である

【所感】
自分を大きく見せるような発言をすべきではない。また、人物を見定める際は、大言壮語の人を優秀な人材だと見誤らないような冷静な判断が求められる。


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