今日の神坂課長は、元営業1課の西郷さんが主査する『論語』の読書会に参加しています。

「孟子は、人間は生まれながらに、仁・義・礼・智という四つの徳を持っていると言っています」

「え、じゃあ、私にも仁の心はあるということですか?」
神坂課長の発言に、参加者一同爆笑しています。

「もちろん、神坂君にだってあるよ。それに正義の心もね」

「はい、正義の心は人一倍強いですよ。人の道に反することは大嫌いですからね」
またまた、一同大爆笑です。

「でもね、それは神坂君の御両親のお陰でもあるんだよ。まだ神坂君がひとりでは何もできない赤ん坊のときに、御両親が愛情を一杯注いでくれたからこそ、神坂君は愛を知り、思いやりの心を育むことができたわけだからね」

「なるほど。私も二人に息子には愛を注いだつもりなんですけど、どうもあいつらはそれが分ってないみたいで・・・」

「じゃあ、神坂君が学生の頃は、それに気づいていたの?」

「え、あ、そう言われると全く気づいていなかったですね」
三たび、爆笑の渦です。

「だけど、そうだとすると、なぜ世の中に不正が次々に起るのでしょうかね?」

「人間はいつの間にか欲を持つからね。この欲というものをしっかり制御できないと、何事も自分中心の発想になってしまうんだろうね」

「欲かぁ。私欲を満たそうとする人間にならないようにするためには、何をすべきなのでしょうか?」

「私が良いなと思うのは、『ありがとう』という言葉をもらうことだと思う。人は、他人から感謝をされると嬉しいものだよね。そして、もっと人のために何かをしたいと思うようになるでし
ょう」

「なるほど。見返りや大きな報酬はなくても、『ありがとう』という言葉をもらえれば、たしかに満足できるかも知れませんね」

「神坂君、自分の課のメンバーに、『ありがとう』という言葉をかけているかい?」

「あー、一時期は意識していたのですが、最近は忘れていたなぁ」

「上司に言われる『ありがとう』は格別なはずだよ!」


ひとりごと

人間ほど親の愛がなければ生きられない生物はいないでしょう。

馬や牛は、生まれてから数時間以内に立ち上がります。

しかし、人間が立てるようになるには、1年近くの月日を要します。

だからこそ、その間に多くのことを学ぶのでしょう。

やはり、人間は本来「善」であるということですね。


【原文】
赤子は先ず好悪を知る。好は愛辺に属す。仁なり。悪は羞辺に属す。義なり。心の霊光は自然に是(かく)の如し。〔『言志後録』第95章〕

【意訳】
生まれたばかりの赤ちゃんはまず好き嫌いを知る。好きは愛の範疇に属するもので、仁(思いやり)である。悪(嫌い)は恥の範疇に属するもので、義(正しい道)である。心の霊妙な光は自然にこのように成長するものである

【ビジネス的解釈】
人間は生まれてすぐに仁と義を理解する。つまり、誰しもが持っている思いやりの心と正しい物事を判断する力を有しているのであるから、ビジネスにおいてもそれを発揮すればよい。


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