今日の神坂課長は、総務課の大竹課長と一杯やっているようです。

「タケさん、この前ね、フェイスブックで友達になった人から猛烈な攻撃を受けましてね」

「へぇ、なんでまた?」

「平成から令和への改元って、すごく素晴らしかったじゃないですか。それを書いたんですよ。そしたら、その投稿に対して、令和という元号はよろしくないとかなんとか、読むのも嫌になるくらいの長文で文句を書き連ねてきたんです」

「その人のことは知っているの?」

「一度だけ会ったことはあるんですけど、ほとんど会話もしたことがない人ですよ」

「気持ち悪いねぇ」

「頭に来たからそれに反論したら、また長文で攻撃ですよ。2、3回やりとりして、これは時間の無駄だなと思ってやめましたけどね」

「そういう人には、『Thank you but no thank you』だな」

「なんですか、それ?」

「『御指摘ありがとうございます、ただ、私には不要の御指摘ですのでもう結構ですって感じかな」

「そうそう、本当にそんな感じでした。面倒くさいからその投稿を削除して、その人を友達から外しましたけどね」

「だいたい人の話を受け入れることができないような人間と会話をしても時間の無駄だもんね」

「時間の無駄で済むなら良いですけど、攻撃を受けて気分も悪いし、碌なことがないですよ」

「本当だねぇ」

「ただね。時間を置いて冷静になって考えてみると、かつての俺って、会議なんかでも結構相手の意見を聞かずに、自分の言いたいことだけを言ってたなぁと思いまして・・・」

「よくぞ、そこに気づいた! あの頃の神坂君には手がつけられなかったね。まさに『Thank you but no thank you』って思ったことが何度もあるよ」

「友達関係を切られなくてよかったです。タケさんの心の広さに救われました」

「わかってくれる? 特に今は課長となったわけだから、部下の話はいったんしっかりと受け取らないとね」

「そうそう、そこが課題です。気をつけないと、途中で話を遮って自分の意見を押し付けたくなるんですよね」

「そこをグッと堪えないとね。人の話を真剣に聞くには、その人に興味をもつことが大切だよ」

「たしかにそうですね。こんな風に考えてみると、今回のフェイスブック事件もそれなりに意味がありそうですね」

「やっぱり、人生に無駄なことはないんだろうな」


ひとりごと

相手の言葉を受け容れずに一方的に言葉を浴びせてくる人と付き合うのには閉口します。

この人はなんで他人の言葉を聞かないのだろうか?と思ってしまいます。

しかし、立場に上下関係がある場合、上に立つ人は下の人に対して同じようなことをしてはいないでしょうか?

小生の場合、胸に手を当てて考えてみると、それを言下に否定することはできそうもありません・・・。


【原文】
能く人の言を受くる者にして、而る後に与(とも)に一言す可し。人の言を受けざる者と言えば、翅(ただ)に言を失うのみならず、秖(まさ)に以て尤(とがめ)を招く。益無きなり。〔『言志後録』第168章〕

【意訳】
よく人の言葉を受け容れる人であってはじめてその人と言葉を交わすべきである。人の言葉を受け容れない人と言葉を交わせば、ただ言葉を失うだけで時間の無駄になるだけでなく、非難を受けることになる。まったく益するところがない

【ビジネス的解釈】
人の意見を聞き入れる人でなければ、良好な関係を築くことはできない。逆に考えれば、人の上に立つ者は、まず部下の意見をしっかりと聞き容れる度量を持たねばならないのだ。


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