経営企画室の川井室長と営業部の佐藤部長が打合せをしているようです。

「佐藤、マーケティング・オートメーション(MA)って知っているか?」

「はい。米国では2014年頃から導入する企業が急増したようですが、最近になって、日本でもちょっとしたブームになっていますね」

「顧客一人ひとりの趣味趣向を把握し、ワン・トゥ・ワンのコミュニケーション手法を用いて、顧客との長期的な関係を構築しようとするわけだよな?」

「はい。ITの技術が進化して、今ではどのお客様が自社のどのサイトのどのページを何分閲覧したかまで把握できる時代です。そういう情報をタイムリーかつ自動的に収集して、自動的に関連するメールを送ったり、イベントの案内を送るわけです。そして、メールへの反応やイベントへの参加状況などをスコア化して購入確度の高い顧客を絞り込むという手法ですね」

「それってつまりメーカーが直接顧客とつながるということだよな?」

「そのとおりです。おそらくO社さんも導入を進めているはずです」

「そうなると、我々ディーラーの存在価値が益々薄れるな。現場の細かいニーズをつかんでいるのが我々の強みのはずだが、ITによって我々を飛び越えて直接メーカーが顧客の趣味趣向を把握できてしまうわけだろう」

「そうなんです。そこを握られると我々は単なる物流を担うことが役割となりますが、それならアマゾンに頼んだ方が良いという時代はすぐ近くまで来ているように感じます」

「非常に危機的な状況ではあるな」

「はい。ただ、米国流のMAが日本にどれくらい根付くかはわかりませんが・・・」

「しかし、可能性のあるリスクに対しては手を打っておく必要があるな。杞憂に終わるなら、それはそれで良いことなわけだから」

「そうですね」

「やはり、当社も科学的な営業手法を取り入れる時期だな。今動かないと手遅れになるだろう

「そのためには、ホームページを充実させて、お客様が情報を得るために参照されるサイトを構築する必要もあります」

「そうだな。かなりの投資が必要になるだろう。しかし、安易にMAに飛びついて無駄にカネを使うことは避けたいな

「おそらく全国のディーラーでMAを取り入れている会社はないでしょう。業界の動きも意識しながら、導入のタイミングを図りましょう」


ひとりごと

小生は、医療機器卸の会社に勤務しています。

今、この業界も大きな変革の流れが来ています。

かつて、日本には全国各地に町の電気屋さんがありました。

しかし、今ではほとんど姿を消し、大手家電店だけが生き残っています。

同じことは、医療機器卸にも起こることは間違いありません。

「MAなんて日本にフィットしない」といって対応を怠ると、近い将来大きな波に飲み込まれてしまう可能性は高いでしょう。

業界の人間として、非常に危機感を感じています。


【原文】
事已むことを得ざるに動かば、動くとも亦悔无(な)からん。革(かく)の夬(かい)に在りて曰く、「みぬる日に乃ち之を革(あらた)む」とは是なり。若し其れ容易に紛更(ふんこう)して、快を一時に取らば、外面美なるが如しと雖も、後必ず臍を噬(か)まん。政を為す者、宜しく戒むべき所なり。〔『言志後録』第196章〕

【意訳】
やむを得ない状況で動くのであれば、動いて後悔することもない。『易経』革卦(かくか)が変じて卦(かいか)になる時の言葉に「(きじつ)にしてすなわちこれを革む。征けば吉にして咎なし」とあるのはこのことを言うのだ。もしもやみくもに変更をして、一時的な快楽を貪れば、外面的には立派に見えても、後で必ず悔しい思いをするものである。政治を執り行う者は、よく心得て戒めとせねばならない

【所感】
動くべきときには積極的に動き、動くべきでないときは容易に動かない。人の上に立つ者は臨機応変な対応が求められる。


img_03














マーケティング・オートメーションの最大手、マルケト社のHPより