今日の神坂課長は、総務課の大竹課長とサシで一杯やっているようです。

「儒学の三徳というのは、智・仁・勇なんだそうです。人の上に立つ者は、この三つの徳を身に着ける必要がある、と一斎先生が言っているんです」

「佐藤さんの受け売りか?」

「まあ、そうなんですけど、自分でも儒学を勉強しているので、随所にそのことは出てくるんですよね」

「なるほど」

「一斎先生は、その3つがあれば、大きな仕事をすることができるし、また後輩の手本にもなる、と言っています。でも、その3つをバランスよく持つのは難しいですよね」

「自分で持てないなら、足りない分を補うような人の配置を考えれば良いんじゃないの?」

「タケさん、どういうこと?」

「例えばわが総務部さ。ボス(西村部長)はどちらかといえば勇の人でしょう。だから、智者の鈴木君と仁者である俺を手元に配置しているわけさ」

「ぶっ」

「なんだよ、いきなり吹き出して! 汚いなぁ」

「ちょっと待ってよ、誰が仁者だって?」

「今、君の横に徳のありそうなお方が座っているでしょう?」

「左隣りは女性だし・・・。どこにいるんですか?」

「君の眼は節穴か! ここだよ、ここ」

「タケさんのどこを探したら、仁が見つかるんですか! まあ、タケさんが仁者かどうかは別として、たしかに自分の不足分を補う参謀をもつのは大事なことかも知れませんね」

「そうだよ。神坂君は名前に勇という名がついているとおり、まさに勇者だよな。それなら、智者と仁者を参謀にすればいいんだよ。なんなら俺が仁者としてサポートするよ」

「結構です! タケさんは、仁者じゃなくて『いんじゃ』ですよ」

「隠者? 俺は人里離れた所に住むのはゴメンだよ」

「違いますよ、タケさんは『飲者』。俺の飲み友達ってことです!!」


ひとりごと

智・仁・勇は儒学の三徳と呼ばれる徳目です。

リーダーはこの3つの徳を身につけよ、と一斎先生は言います。

もちろん、リーダーたる者はこの3つを身につけるべく修養を積む必要がありますが、当面は自分の弱点を補うような人の配置を考えることも重要でしょう。

そのためにも、自分が智者・仁者・勇者のうちでどれに該当するかを把握する必要がありますね。


【原文】
人主の学は智・仁・勇の三字に在り。能く之を自得せば、特(ただ)に終身受用して尽きざるのみならず、而も掀天掲地(きんてんけいち)の事業、憲(のり)を後昆(こうこん)に垂る可き者も、亦断じて此(これ)を出でず。〔『言志後録』第198章〕

【意訳】
人の上に立つ者が学ぶべきものは智・仁・勇の三つである。これをよく会得できれば、一生これを自分のものとして尽きることはないだけでな仕い。また大きな事を為し、その手本を子孫に残すことができるのも、この三つの徳を実践する以外にはない

【ビジネス的解釈】
リーダーたる者は、智・仁・勇の三徳を身につけねばならない。しかし、まずは自分のタイプを把握し、不足する徳目を補う人を身近に配置することも考えるべきであろう。


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