今日の神坂課長は、西村部長、佐藤部長と3人で京都の笠置寺を訪れたようです。

「うわぁ、デカいですね。この巨石に仏像が描かれていたのですか?」

「そうなんだよ。今は光背が残っているだけで、お姿は消えているけどね」
西村部長が解説をしてくれます。

「そして、ここは討幕を図った後醍醐天皇が陣を構えた場所なんだ。この地で鎌倉幕府軍との一ケ月に渡る壮絶な戦いが繰り広げられたわけだ」

「結果的に幕府軍が勝利を収めて、この寺は全焼し、摩崖仏もその炎に焼かれて消えてしまったんですね」
佐藤部長も補足しています。

3人はさらに歩を進めて、後醍醐天皇の行在所跡へやってきました。

「ああ、この奥に後醍醐天皇が居たのですね。思ったより狭いですね」

「後醍醐天皇は、ここを主戦場とする戦いに敗れて、隠岐に流されてしまったんだ」

「なるほど」

「しかし、鎌倉幕府が亡ぶと、後醍醐天皇は京都に帰還して建武の新政を実行する。鮮やかな復活劇のようだが、公家中心の政治が武士の反発を招き、関東で足利尊氏が挙兵すると、あっという間に京都を制圧して室町幕府を開くことになる」

「そして尊氏が光明天皇を新たな天皇として擁立すると、後醍醐天皇は三種の神器をもって吉野へ逃れる。これによって京都の北朝と吉野の南朝に分裂した南北朝時代が到来するわけですね」

「お二人とも詳しいなぁ」

「ただ、日本の南北朝というのは、どちらも神武天皇から続く皇統の継承者ではあったんだ。いわゆる三種の神器をどちらが保有するかどうかで正統性が保たれただけなんだ」

「そういう意味では中国の南北朝のように、まったく血縁のない王朝同士の分裂とは似て非なるものがありますね」

「そうか、だから島流しで済むわけですね。中国なら確実に皆殺しでしょうね」

「一度は分裂した皇統も第100代の後小松天皇のときに統一され、そのまま皇統は継承されて、今年の5月1日に今上陛下が第126代の天皇として即位することになる」

「凄い歴史ですね。それがいわゆる万世一系ということなんだな。やはり日本という国は特別な国なのかも知れませんね。私ももう少し天皇のことを勉強してみます!」


ひとりごと

2019年5月1日、今上陛下が即位され、新元号「令和」が制定されました。

今を去る事2679年前に神武天皇が即位してから現在に至るまで、我が国の皇統は万世一系で連綿と続いてきました。

素晴らしい歴史であり、世界に誇るべきことです。

日本人であることに誇りをもって生きていきましょう!


【原文】
我が国の南北朝は、漢土の南北朝と、事体迥(はるか)に別なり。漢土は則ち南北に異姓角立(かくりつ)し、又各おの相簒奪せしかば、真に是れ判れて南北たり。我が国は則ち皇統一姓にして、宸居(しんきょ)は南北に分つと雖も、而も皇胤(こういん)は実に南北無し。但だ神璽の帰する所を以て順と為すのみ。烏(いずく)んぞ漢土と一例に之を視るを得んや。〔『言志後録』第199章〕

【意訳】
我が国の南北朝というのは、中国の南北朝とは事情が全く異なっている。中国の南北朝は別姓の血縁のない家が互いに皇位を奪い合うという状況であったので、完全に南北に別れていた。これに対して日本においては同じ天皇の皇統であって、住居だけが南北に分かれていたが、その御血統に関しては南北の別はなかった。ただ三種の神器の帰著せられる方を正統とするだけである。どうして中国と同じだと見ることができようか

【一日一斎物語的解釈】
日本史上にも南北朝時代はあるが、中国の南北朝とは似て非なるもので、万世一系の皇統は連綿と継承されている。こうした偉大な歴史を学び、日本人であることに誇りをもつべきである。


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