今日の神坂課長は、仕事を終えて、佐藤部長と『季節の料理 ちさと』に居るようです。

「多田先生から歴史書から学べと言われまして、『資治通鑑』という中国の歴史書を調べてみたんですけど、めちゃくちゃ膨大な量があるんですよ。あれは読めませんね」

「ははは。いきなり全巻読破する必要はないんじゃないか?」

「そうよ、神坂君。いまさら学者さんにでもなるつもり?」

「ママ、俺が学者になれると思う?」

「思わない」

「じゃあ、聞くなっつうの!!」

ちさとママは舌を出しながら厨房に引っ込んだようです。

『資治通鑑』の解説書やビジネス用に解釈した本が出ているから、それから読んでみたらどうなの?」

「あ、そんな本があるんですか?」

「最近、ちょっとしたブームなのか、立て続けに『資治通鑑』に関係する本が出版されているよ」

「そうですか。まずはそういうもので概要を把握して、自分の仕事に活かせる内容を見つければいいのか?」

「我々が大書を読むときは、そういうスタンスで良いだろうね。『資治通鑑』の解説本はないと思うけど、私が好きなのは守屋洋さんの本だな」

「学者さんですか?」

「うん、中国古典をビジネスや日常の生活に当てはめて面白おかしく解説してくれる人でね。私は守屋洋さんの本だけで、30冊以上は持っているかもしれないな」

「へぇ。あ、その守屋洋さんは『書経』は解説していないですか?」

「以前にプレジデント社から出ていたけど今はもう絶版だろうな。ただ、たしか『帝王学講義』という本の中で解説してくれているはずだよ」

「明日、早速書店で探してみます。あ、でも多田先生がこんなことを言ってたな。『自分の仕事に活かすという目的で古典を読むのは動機が不純だ。自分を磨き、成長させるために読むのが正しい』って」

「本来の学問はそういうものだろうね。多田先生はやはり良いアドバイスをしてくれるね」

「見た目は怖いし、口は悪いですけど、本当に優しい先生です」

「はーい、お待たせしました。今日はタカベのお刺身です」

「おー、小さな高級魚。タカベの刺身は珍しいな」

「今朝、伊豆で水揚げされた新鮮なタカベなので、お刺身でどうぞ」

「タカベ? はじめて聞いたよ、そんな魚のこと。このお店のママも口は悪いけど、ここに来ると魚の勉強ができていいね!」


ひとりごと

読書の苦手な人と会話をすると、その本の厚さを気にされます。

読書好きな人にとっては、本の厚さやページ数はどうでも良くて、中身がどうかが大事なのですが・・・。

しかし、中国古典のような大書に関しては、やはり要約された解説本を手に取るほうが良いでしょう。

小生は、中国古典に関していえば、守屋洋先生の大ファンで、そもそも古典に嵌ったのも、守屋先生の本を読んだことがきっかけでした。

もし、中国古典にアレルギーを感じている方は、守屋洋先生の解説本を探してみてください。


【原文】
宋・明の二史は、事跡・人情、今において近しと為す。但だ巻帙浩瀚(かんちつこうかん)なれば、能く其の要処を抽(ぬ)きて之を読まば可ならん。〔『言志後録』第202章〕

【意訳】
『宋史』と『明史』の二史は、その事跡や人情などは今の時代と近いものがある。ただし、巻数が非常に膨大であるため、その要点を抽出して読む方がよい

【一日一斎物語的解釈】
歴史書などの大書を読むときは、要点を抽出した文書から学ぶのがよい。


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