今日の神坂課長は、総務課の大竹課長と「季節の料理 ちさと」で一杯やっているようです。

「うちのマンションでは、本当はダメなんですけど、最近、カミさんが手乗り文鳥を飼い始めたんです」

「息子たちが言うことを聞かなくなったし、旦那はほとんど家にいないしで、寂しくなったんじゃないの?」

「たぶんそうだと思います。まあ、亭主に関しては、元気で留守がいいと思っているでしょうけど」

「うちはおかあちゃんとラブラブだからね。今でも一緒にお風呂に入るくらいだから」

「それ、前にも聞きましたけど、気持ち悪いから二度と言わないでください。酒が一気にまずくなります」

「そこまで嫌がる? 最高の夫婦愛の話だよ」

「夫婦愛はすばらしいなとは思いますけど、風呂は入らないでしょう、いい年して!」

「年は関係ないよ! それで、奥さんは文鳥が来てからどうなの?」

「まるで自分の子供のように可愛がっていますよ。息子たちも動物好きなので、たまに手に乗せて可愛がってます」

「おお、いいじゃない。なかなか仕事は思い通りにいくものではないから、男は気持ちが殺伐としがちだけどさ。たまには心を落ち着けて家族と接してみると、すごく心がやすらぐものだよ。まるで、カミさんや子供たちの言葉が美しい音楽のように聴こえてくるでしょう」

「風呂の話から一転して、突然詩人になりましたね、タケさん」

「俺はもともと詩人だよ。常に俺の頭には歌が溢れているからね」

「駄目だ、このおっさん。完全に酔っ払ってるな。まあ、たしかに家族の存在に救われることはありますよね。この前、目の前を歩いている親子が手をつないでいるのをみて、そういえば俺も数年前までは息子と手をつないで歩いていたな。もう、奴らと手をつなぐことはないだろうな、と寂しくなりました」

「大丈夫、次はお孫さんと手をつなげるときが来るからさ」

「なるほど、あいつら結婚するのかな?」

「日本の将来のためにも結婚してもらわないとね。そのためには、神坂君!」

「な、なんですか?」

「奥さんと一緒にお風呂に入るところを息子さん達に見せて、『夫婦っていいなと思わせないと!」

「だから、その話はやめろって言ってるだろ!!」


ひとりごと

小生の家でも最近、手乗り文鳥を買い始めました

なんとなく子供がひとり増えたような感じで、家の中の雰囲気がやわらいだ印象があります。

実家では、母が猫を4匹飼っていて、まるで自分の子供のように接していますが、それが元気の源になっているようです

もともと動物があまり好きではない小生ですが、女性の母性本能を癒すためには、小動物の存在は重要なのだとあらためて感じました。


【原文】
平心に之を聴けば、婦人孺子の語も亦天籟なり。〔『言志後録』第214章〕

【意訳】
心を落ち着けて聴いてみれば、婦人や子供の話もまた天地自然の道のはたらきを示す絶妙なメロディのようである。

【一日一斎物語的解釈】
仕事に追われて心が殺伐としているときこそ、時には心を落ちつけて家族と接してみるとよい。家族の存在に救われることに気づくはずだ。


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