今日の神坂課長は、評価会議を終えて、大累課長と夕食を共にしているようです。

「俺は最近つくづぐ思うんだけどな。ウチの会社は良い奴ばっかりだよな」

「ははは。ちょっと前は逆のことを言ってましたよね。『ウチの会社はクズばっかりだ』ってね」

「え、そうだっけ? それいつごろ?」

「4~5年くらい前じゃないですか?」

「じゃあ、それほどメンバーは入れ替わっていないよな。ということは、俺の見方が変わったってことかな?」

「そうですよ、きっと。人間的に成長したから、他人の良い所が見れるようになったんですよ」

「なるほどな。俺も少しは成長しているのかぁ」

「あの傍若無人な人がよくぞここまで。うれしくて泣けてきます」

「やかましいわ! そういうお前だって変わったじゃないか。最近は、社内でドンパチやっていないしな」

「それはそうですよ、そのドンパチの相手は大概、お隣に座っていらっしゃるカミサマだったんですから!」

「ゴン」

「痛っ。なにしやがるんだ!」

「って、なってたわけか? お互い成長したんだな」

「それを確認するために、簡単に人を殴るのやめてもらえません?」

「たしかに、今はウチのメンバーのそれぞれの長所が見えるようになった。それぞれにもちろん短所もあるけど、会社の役に立てるだけの長所をみんな持っているよな」

「その能力を活かすも殺すも、上司である我々次第なわけですね」

「そういうことになるな。しかし、そう考えると、お前とか俺みたいなやんちゃな野郎を上手に育て上げた佐藤部長はやっぱりすごい人だということになるな」

「本当ですね。でも、佐藤部長が言ってましたよ。自分はどちらかといえば企画屋で、俺たちは実働部隊だと。いくら企画屋が立派なシナリオを書いても、実働部隊がその通りに動いてくれなかったら成果は出ない。だから我々に感謝をしているって」

「そうやって人の美点を見れる上司の背中を見てきたから、俺たちも少しずつ変わってきたんだな。背中を見せるのは大事だぞ、大累!」

「そうですね。でも、神坂さんは裸は見せない方がいいですよ。背中にタトゥーがあるのがバレますから!」

「ゴン」

「痛っ」

「刺青なんてねぇわ!!」


ひとりごと

「人各おの能有り。器使す可からざる無し」という言葉も、蓋し名言ですね。

小生がマネージャーに成り立ての頃は、すべてのメンバーを自分が勝手につくりあげた理想の型にはめ込もうとしてもがき、メンバーを苦しめていたように思います。

それぞれの個性を活かし、長所を見出して活躍してもらう。

それがリーダーの真の役割なのです。

お若いリーダー諸氏はぜひそのことを念頭において、日々のマネジメントにお励みください。


【原文】
人各おの能有り。器使(きし)す可からざる無し。一技一芸は皆至理を寓す。詞章筆札(ししょうひつさつ)の如きも亦是れ芸なり。蓋し器使中の一のみ。〔『言志後録』第216章〕

【意訳】
人にはそれぞれ異なった能力がある。その長所をうまく活用すべきである。どのような技芸にもまっとうな道理が存している。詩や文章を書くことも芸のひとつであって、活用すべき技芸のひとつにすぎない

【所感】
人は誰しも世の中の役に立つ長所をもって生まれてくる。その長所を見出し、長所を活かす仕事をさせて成果をあげるのが上司の役割である。


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