ジャイアンツファンの神坂課長とドラゴンズファンの新美課長がランチ中のようです。

「原さん、通算1000勝を達成しましたね」

「川上さん、長嶋さんに継ぐ記録だし、あと1年やればその偉大な先人の記録も抜き去ることは確実な数字だからな。凄い記録だよ」

「インタビューでは、『まったく意識していなかった。ただ目の前の一勝のことしか考えない日々の積み重ねでここまで来たと言っていましたね」

「実際、そうなんだろうな。やはり大きな仕事をする人というのは、決して他人に誇ることはしないし、そもそも目の前の仕事に全力を尽くしていくことしか考えていないのかもな?」

「そうですねぇ」

「それに引き換え俺のような小人は、自分がやった仕事が評価されないと、すぐに不満を言ったり、やる気を失ったりしてしまう。情けないねぇ」

「でも、そういうことを情けないと思わない人も多いでしょうから、情けないと思うだけ、神坂さんも小人を抜け出しつつあるということじゃないですか?」

「そうだといいけどな。そういえば、政治家連中も小さな成果を誇る輩が多いな。安倍さんも、自らアベノミクスの成果を自慢げに語っているけど、あれはやらない方がいいよな。やはり周囲に自然と認めてもらうことを目指さないと」

「でも、それだと選挙に勝てないじゃないですか。選挙に勝てなければ、自分の主張を実現することもできませんから」

「まあ、それはそうだけどさ。選挙に勝つことが目的になっている感も否めないよな」

「あのNHKから国民を守る党の党首は酷いですね。政策上まったく方向性の違う渡辺喜美さんと会派を結成したり、あの丸山とかいうバカ議員と組んだりで、節操がなさ過ぎます」

「あいつは問題外だよ。そもそもあの党首は、NHKに受信料を払っていないらしいじゃないか!」

「そうらしいですね。維新の会の松井代表が問題視しています」

「なんか日本も小人だらけだな。明治維新の頃は我が身を顧みず、命を賭して国を守ろうとした志士がたくさんいたのになぁ」

「本当ですね。同じ国なのでしょうか?」

「でも、そうやって外野から批判するのは簡単だ。とにかく俺たちは目の前の仕事に全力を尽くし、大きな仕事を軽々となにごともなかったかのように達成する人物を目指そう!」

「そうとう大きな道のりですね。しかし、目指してみます!」


ひとりごと

功績を他人に誇らないというのは、小人には難しいことです。

認めてもらえないと、なんとかして認めさせようとしてしまいます。

しかし、評価というのは他人が下すものです。

そんなものに一喜一憂するのではなく、自分が信じた道を粛々と進んでいくべきなのでしょう。


【原文】
先賢には補天浴日の大事業有り。其の自ら視ること漠然として、軽靄(けいあい)・浮雲の如く然り。吾れ古に其の人有るを聞く。今は則ち夢寐のみ。〔『言志後録』第254章〕

【意訳】
昔の賢者には天下に大きな功労のある大事業を行った人がある。彼らはそのことを特に気にかけもせず、まるで軽いもやや浮雲を見るかのようになんでもないこととしている。私は昔そうした人がいたと聞いている。今はそうした人には夢でしか会うことはできない

【一日一斎物語的解釈】
大きな仕事を成し遂げても、それを人に誇らないのが真の人物である。


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