今日の神坂課長は、大累課長とランチ中のようです。

「最近、今流行のの1on1に取り組んでいるんですよ」

「なんだそれ?」

「神坂さん、知らないんですか?」

「うるせぇな、なんだよその鬼の首を取ったような言い方は!」

「だって、ビジネス本コーナーに行けば、1on1に関連する本が平積みされていますよ」

「マジか? 本屋にはよく行くけど、全然目に入ってこなかったな。なんだ、それは要するに個人面談か?」

「形式はそうですね。ただ、1~2週間に一度30分程度の1on1をやることが推奨されているんですけど、その時間はすべて部下のための時間だと腹を括る必要があります」

「そりゃ、お前には無理だろう。だいたい面談が独演会になるタイプじゃないか?」

「それはアンタでしょ! おっと、暴力はいけませんよ!」

「で、どんな話をするんだよ」

「テーマは部下に決めさせます」

「何もないです、ってなったらどうするんだ?」

「そういうときのために、こちらもいくつかテーマを準備しますが、できる限り部下が選んだテーマで話をするのが重要なんです」

「なるほど。たしかに普通の個人面談とは違うな」

「それで、上司はとにかく聴くことに徹して、上手に相槌を打ちながら、部下に深く考えさせることが最も大切らしいです」

「自分が選んだテーマについて、自分自身で考えるなら、ひとりでやればいいじゃないか!」

「雑賀がひとりでやると思いますか?」

「ははは。思わないな」

「でしょ。上司と一対一で自分のキャリアパスについて深く考える時間を共有するなんて良いでしょう。そこで、上司は安易に評価を下さずに、相槌程度に留めて、自分で考えさせるんです」

「考えるきっかけを与えるわけか?」

「そう、その通り! 私が教科書にしている『ヤフーの1on1』という本には、『上司は部下の思考のきっかけは提供できても、学び自体は提供できない』って書いてありました」

「なるほどなぁ。それで、なにか成果は出てきたのか?」

「俺たち上司って、意外と気づいていないんですけど、メンバーによってコミュニケーションの頻度が違いませんか? これをやることで、あまりコミュニケーションをとっていなかったメンバーの考え方が見えてきたりするのが面白いです。まだ、成果と呼べるようなところには至っていないですけどね」

「ということは、雑賀ではなく、緑川とか藤倉の新しい一面が見えてきたってことか?」

「そうなんですよ。雑賀のために始めたようなものですが、むしろその二人のキャラクターが見えてきました」

「面白そうだな。俺もやってみようかな。今日の帰りにさっそく本を買って読んでみよう!」


ひとりごと

ヤフーが取り入れて、今ちょっとしたブームになっているのが1on1です。

しかし、安易に1on1を取り入れて失敗している企業も多々あるようです。

『ヤフーの1on1』(本間浩輔著、ダイヤモンド社)によると、まず上司が1on1を部下のための時間だと腹に落とせるかどうかが重要だとしています。

その上で、毎週が無理なら2週間に一度でもいいからとにかく継続してみる。

上司は、部下の言葉を否定せず、また褒めることもせず、ただ言葉をそのまま受け入れて、自ら思考するように仕向けていくのがポイントなのだそうです。

小生も、さっそくマネジメントに取り入れるべく、勉強を開始しております。


【原文】
吾人の工夫は、自ら覔(もと)め自ら覰(うかが)うに在り。義理混混として生ず。物有るに似たり。源頭来処を認めず。物無きに似たり。〔『言志晩録』第4章〕

【意訳】
私たちの学問の工夫は、自ら求め、考究することにある。世の中の正しい道理は水が湧きだすように次々と生じている。まるで何物かが存在しているようであるが、その始源の場所は見つけることができない。まるで何物も存在していないようである

【一日一斎物語的解釈】
人は自ら学ぶ意志を持たなければ、学びを深めることはできない。上司は部下の思考のきっかけは提供できても、学び自体は提供できないことをよく理解すべきである。


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