2年生トリオの石崎、善久、願海君が同期会を開催しているようです。

「それにしても、ゼンちゃんはもう少しグイグイ行かないとダメじゃない? カミサマはそういう奴が好きなんだからさ」

「だけど、ザキはこの前グイグイ行き過ぎてクレームになっていたじゃないか!」

「うへぇー、それを言うなよ! 行動すれば、時には失敗もある。しかし、そこから学ぶことはたくさんあるんだぞ!」

「ははは。ザキはすべてがポジティブだよね。ゼンちゃんも少しは見習った方がいいかもね」

「そういうガンちゃんは、どうなんだよ。グイグイ行くタイプか、ゼンちゃんタイプの慎重派か?」

「ガンちゃんは、バランス派だよね。押すべきときは押し、引くべきときは引くことができるもんな」

「それは褒めすぎだよ。僕もどっちかといえば慎重派じゃないかなぁ」

「いやいや、この前、雑賀さんから聞いたよ。煮え切らない先生に、『今日は注文をもらいに来ました』って言ったらしいじゃない。雑賀さんが何てこと言うんだって驚いたらしいよ」

「ザキ、情報が早いなぁ。それ、一昨日のことだよ」

「え、それでガンちゃん、その件はどうなったの?」

「それが、『君にそう言われて決心できたよ』と言って、注文をくれたんだ」

「すげぇな、ガンちゃん。それを聞くとイケイケ派に見えてきた」

「な、ゼンちゃん。やっぱりイケイケが良いんだって!」

「いや、ザキ。時には立ち止まってじっくり考えることも必要だよ。僕は毎晩5分間目を瞑って一日を振り返ってから寝ているんだ」

「仙人じゃないんだから!」

「ガンちゃんの言うとおりだよね。僕みたいな慎重派は、日々の仕事で積極的に動く意識を持つべきだし、逆にザキみたいなイケイケドンドンは、時にはじっくり瞑想して、自分の行動を振り返る必要があるってことだよね」

「じゃあ、ガンちゃんは何を意識すればいいんだよ!」

「ガンちゃんは、俺たちと同じ年齢のクセに落ち着きすぎているから、もっと若々しく振舞うことを意識した方がいいんじゃないかな?」

「そこ?」


ひとりごと

孔子は、弟子一人ひとりのキャラクターをよく把握し、その弟子に最適な課題を与え、自ら考えるように仕向けています。

病気に応じて薬を変えることに似ていることから、これを応病与薬といいます。

これが理想のピープル・マネジメントだと感じた小生は、それ以来『論語』を勉強するようになりました。

まずは、メンバーのキャラクターを把握し、次に多くの引き出しの中から最適な薬を与える。

これが簡単なことでないことは、おわかりいただけると思います。


【原文】
人と為り沈静なる者は、工夫を尤も宜しく事上の練磨を勉むべく、恢豁(かいかつ)なる者は、則ち工夫宜しく静坐修養を忘れざるべし。其の実、動・静は二に非ず。姑く病に因って之に薬するなり。則ち是れ沈潜なるは剛もて克(おさ)め、高明なるは柔もて克むるなり。〔『言志晩録』第8章〕

【意訳】
その性格が落ち着いて静かな人は、精神修養の工夫として日常生活の中で己を磨いていくべきであり、性格が快活で落ちつきのない人は、静坐瞑目することで己を磨くことを忘れてはいけない。実際に、動と静は別の事ではなく裏表の関係のようなものである。まずはその病気に応じて適切な薬を与えることである。つまり落ち着いて静かな人は剛毅を養い、勢いのある人は柔和な心をもって自らを養うのである

【一日一斎物語的解釈】
物事には陰と陽があるように、人間にも静のタイプと動のタイプがある。この2つのタイプに優劣はない。静の人は行動することを意識し、動の人は立ち止まるときを意識すればよい。アドバイスをする際は応病与薬を意識して、各自に合ったアドバイスをするべきである。


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