石崎、善久、願海の2年生トリオが次の旅行先について話し合いをしているようです。
「まだ9月だよ、全然いけるよ。俺は絶対海辺がいいな」
「でもさ、ザキ。どうせ海に行ったところで泳げるわけじゃないだろう。もうクラゲも出ているはずだし。それより山に行こうよ。満天の星空は最高だぜ」
「ゼンちゃん、そういう所には彼女と行けよ。なんで男3人で星を見上げなきゃいけないんだよ」
「別にいいじゃん。仲良し3人組で星をみながらバーベキューなんて最高じゃないか」
「海に行ったって星くらい見えるだろう。それより波の音を聞きながら語り合う方が楽しいと思うけどな」
「まあまあ、二人とも。どちらにしても、次回はテントで一夜を明かすことは賛成なわけだよね?」
「ガンちゃん、まあそうだけど、どこに行くかも重要だぜ」
「そうかな? ザキ、僕は誰と行くかも重要だと思うけどなぁ。それに話を聞いていると、二人とも夜通し語り合いたいということも一致しているよね?」
「そこは譲れないな。同期3人でいろいろと将来のことを語るのは楽しいからね。な、ザキ?」
「それはそうだよ。そのために旅行に行くようなものだからさ」
「別に、喫茶店でもいいのに?」
「ガンちゃん、喫茶店じゃ雰囲気が出ないよ」
「ははは。ザキ、さっきゼンちゃんに言ってたセリフ、そのままザキにも送るよ」
「たしかに! 知らない人が今の話を聞いたら、絶対デートする場所を探していると思われるよ!」
「う、うるさいな。ガンちゃんは、どこに行きたいんだよ。まさか、喫茶店でいいとか?」
「何言ってるの、僕だって語り合いたいよ。僕は本当にどこでも良いんだよね、静かな場所で3人で語り合えるなら」
「なんか、俺たちって気持ち悪いくらい仲がいいな。神坂課長が聞いたら絶対、『お前らはゲイか?』ってツッコミを入れてくるだろうな」
「ゼンちゃん、それは間違いない。こんな会話、カミサマに聞かれたらアウトだよ。よし、わかった。今回はゼンちゃんのプランに乗るよ。星空の下でバーベキューをして、満点の星を見
上げながら寝転んで語り合おう!」
ひとりごと
議論が白熱してくると、どうしても当事者同士で折り合うことが難しくなります。
そんなときこそ、ファシリテーターの出番です。
さりげなくお互いの共通点に話題を移し、そこから少しクールダウンさせて、最後は共通のゴールへと目を向けさせる。
会議において、ファシリテーターが必要な所以です。
【原文】
明道の定性書は、精微にして平実なり。伊川の好学論は平実にして精微なり。伊・洛の源は此(ここ)に在りて、二に非ざるなり。学者真に能く之を知らば、則ち異同紛紜(ふんうん)の論息(や)む可し。〔『言志晩録』第32条〕
【意訳】
程明道の「答横渠先生定性書」は、非常に細やかで平明である。程伊川の「顔子所好何学論」は、平明であって、細やかである。程兄弟の学問の源流はこのようであって、別々のものではない。学問をする者は、このことを知って、見解の相違に基づく様々な論争をやめるべきである。
【一日一斎物語的解釈】