今日の神坂課長は、同期の人事課鈴木課長と食事をしているようです。

「N国の立花って奴は、何をしたいんだろうな?」

「NHKから国民を守る党だっけ? 彼は有名になりたいだけじゃないの」

「そうだよな。あいつの政見放送を聞いたか? ただ一点、山梨かなんかのNHKのアナウンサー同志が不倫の上、カーセックスをしたという事件のことを何度も何度も言い放ち、それを隠蔽しているからNHKはけしからん、受信料をみんなで支払うのをやめましょう、という内容しか言ってないんだ」

「それが今の国政とどう関係あるんだ?」

「ないだろう。俺はエリートではない、大学を出ていない。エリートはダメだ、とまったく筋の通らない主張もしているんだぜ」

「でも、そんな党でも100万票を獲得しているんだろう」

「投票した連中は、あの政見放送を見たのかな。見たら、絶対投票しようとは思わないぜ」

「俺も帰ったら見てみよう」

「選挙を百姓一揆に例えて、自分を現代の大塩平八郎だと言いやがった。ふざけるなと言いたいね。お前はどれくらい儒学を学んだんだと!」

「そもそも主義主張もないまま、政治家になりたいだけなんだろうな」

「間違いないな。だから、いざ国会議員になると、今度はおっぱい議員を誘ったり、老いぼれた議員と手を組んだり、マツコを訴えたりと話題になることならなんでもやっているもんな」

「NHKの受信料を未払いにしようというのが主張なんだろう。それが国民を救うことになると、本気で思ってるのかな?」

「正式にいうと、NHKをスクランブル放送にしよう、というのが主張らしい。要するに受信料を支払った人だけがNHKを見れて、払わない人はれないという形にもっていく。そうすれば、必然的にNHKはつぶれるということなんだろうな」

「正直、勝手にやってくれと言いたい。俺は受信料を払って、NHKを時々る。それで何も困っていないからな」

「まったくだよ。しかし、彼らはいざ国会議員となったら、とにかくマスコミが喜びそうな行動ばかりしている。すでに、NHKの話はどうでもよくなってるんじゃないか?」

「最初から主張なんてないんだよ。たしか彼はユーチューバーなんだろう?」

「51歳にもなって、政治家ユーチューバーと名乗るような幸せな奴だ。もうマスコミも取り上げないで欲しいよ。政治家というのは、自分の主義主張を一貫して実現するべく動く。そういう人たちにお願いしたい。別にNHK問題でも真摯にコツコツやるならそれで良いんだよな

「たしかにな。やはり問題は、彼以上に、彼に投票した国民だな。もう少し政治というものを勉強しないとな」


ひとりごと

主義主張の一貫性ということを考えた時、真っ先に浮かんできたのがあの頭のてっぺんが尖がった党首さんでした。

そこで改めて政見放送を見てみました。

怒りがこみ上げてきました。

ひと言でいえば、「くだらない!」。

98万人もの有権者は、どうしてあの党に投票しようと思ったのでしょうか?

あれなら、かつて東京都知事に立候補した内田裕也さんの政見放送の方がよほど面白いですよ。

ただひとつ、NHKにお願いしたいのは、皆が観たくなる番組をたくさん作ってくださいということです。

日本の歴史や文化を面白おかしく学べる番組をぜひ作ってください。

そうすれば、みんな喜んで受信料を払いますよ。

今回の一斎先生のお言葉はちょっと難解でしたので、かなり飛躍していますが、今思うことを書かせていただきました。


【原文】
朱・陸の異同は、無限・太極の一条に在り。余謂(おも)えらく、「朱子の論ずる所、精到にして易(か)う可からずと為す。然るに、象山尚往復数回にして已まざれば、又交遊中の錚錚たる者あり」と。但だ疑う、両公の持論、平昔(へいせき)言う所と各々異なるを。朱子は無を説き、陸子は有を説き、地を易うるが如く然り。何ぞや。〔『言志晩録』第34条〕

【意訳】
朱子と陸子との論説の相違は、無極と太極の見解にあるといえる。私は「朱子の説は、精緻でかつ変更する必要のないものである。しかし、陸象山はなんども論説を戦わせて飽くことがなかったのは、朱子の交遊の中でも特出した人物であった証であろう」と思っている。ただ疑問に思うのは、朱子と陸子の論説は、普段主張しているところと異なっていることである。朱子は無を説いて、陸子が有を説くのは、その立場が逆転しているようである。これはどういうことだろうか

【一日一斎物語的解釈】
主義主張は一貫させるべきである。ところが、議論を戦わせているうちに、相手を論破することが目的となり、いつしか主義主張が当初のものと異なっている人がある。もちろん主義主張は学びの度合いによって、少しずつ変化していくものではあるが、短期間にグラグラとあっちへ行ったりこっちへ来たりでは宜しくない。


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