人事課の鈴木課長が神坂課長のデスクにやってきました。

「神坂、観たよ」

「N国の政見放送か?」

「そうそう。あれは酷いな。ついでに、いくつか彼のYouTubeの動画も観たけど、ますます酷いな」

「あいつ、自分のことを本物の政治家って言ってるだろう。どこがやねん!ってエセ関西弁でツッコミたくなるよな」

「本物かどうかは、自分で決めることじゃないよな。少なくとも俺は、彼を本物の政治家だとはまったく思わない」

「国会議員=本物の政治家という図式は、本来正しいんだろうけどな。しかし、最近はプロスポーツ選手や芸能人、そして無能なジュニア政治家が次々に国会議員となっている。だから、その図式はもう成り立たないんだよな」

「彼は議員となったら、次は派閥作りに走り始めたな。とにかく烏合の衆でもなんでもいいから、誰とでも手を組んで会派の人数を増やそうという算段だろう」

「会派をつくるとメリットがあるのか?」

「希望する委員会に入れるし、質疑の時間も会派の人数によって振り分けられるらしいから、メリットは大きいんだろうな」

「俺はだいたい政治家の派閥というのが気に食わない! なぜ同じ党に所属していながら、派閥があるんだよ。派閥=政党じゃないのかって思うよ」

「総論OK、各論反対みたいな意味なんだろうけどな。たしかに、同じ党内で派閥同士が本気でポストを取り合うなんていうのは、みっともないし、ゲスだよな」

「ゲスの極み乙女だよ!!」

「・・・」

「と、とにかく安易に派閥を組むというのは俺は好かん。ひとりじゃ何もできないから、大勢でコトを動かそうという発想が貧困だ。徳は孤ならずだ!」

「たしかにな。N国の立花さんはとにかくNHKのスクランブル化を目指しなさいと言いたいな。渡辺喜美氏は、何のために『みんなの党』を復活させるのか、しっかりと公約を掲げてほしい」

「派閥なんか作らずにな!」

そこに雑賀さんがやってきたようです。

「神坂さん、ランチ行きませんか?」

「おお、いいのか上司の大累と行かなくて」

「(小声で)なに言ってるんですか、俺は神坂派ですよ」

「可愛い奴だな。よし、今日は俺の奢りだ!」

「神坂、お前・・・」


ひとりごと

派閥に対するこの一斎先生のご意見はとても共感できます。

自分の主張に自信があるなら、ひとりで戦えと読むこともできますし、そもそもオリジナルな思想は既に出尽しているんだから、自分の主張を守るために派閥をつくるなど問題外だ、とも読めます。

いずれにしても、自分に自信がないとき、人は徒党を組みたがります。

徳は孤ならず、必ず隣有り

自分を信じる力なくして、何事も成就しませんね。


【原文】
象山は濂渓・明道を以て依拠と為すと雖も、而も太(はなは)だ門戸を立つるを厭えり。嘗て曰く、「此の理の在る所、安(いずく)んぞ門戸の立つ可き有らんや。学者各々門戸を護るを要む。此れ尤も鄙陋(ひろう)なり」と。信(まこと)に此の言や、心の公平を見るに足る。〔『言志晩録』第36条〕

【意訳】
陸象山は周濂渓・程明道を思想の根拠としているが、派閥をつくることを大いに嫌ったものである。陸象山は嘗てこう言った、「この道理の存在する所に、どうして派閥をつくる必要があるだろうか。学者はみな自分の派閥の学説を守ろうとする。これは最も下品な行為である」と。本当にこの言葉こそ、陸子の心の公平さを知るのに十分であろう

【一日一斎物語的】
自分の主張を守るために安易に派閥を作ることは慎むべきである。そもそも自分の主張が本当にオリジナルなものなのかをよく確かめる必要もあろう。


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