今日の神坂課長は、『論語』の読書会に参加しているようです。

「孔子には弟子が三千人いたと言われています。その中でも私は、年齢層で孔子の弟子たちを第一世代、第二世代と分けてお話をしています」

主査の西郷さんが語っています。

「第一世代というのは、子路、子貢、顔回、冉求あたりを指します。子路は孔子と9歳しか離れていませんが、後の弟子たちは概ね30歳近くの年齢差があります」

「だいたい自分の子供くらいの年齢差ですね」

神坂課長が発言しました。

「そうだね。この第一世代の弟子達というのは、皆仲が良いんだね。お互いがお互いを認め合っているところがある」

「なるほど」

「ところが、第二世代になると、自分の意見を主張し合って互いに批判し合うようになる」

「第二世代というと、誰がそれに当たるのですか?」

「曽子、子夏、子游、子張あたりが代表格になるかな。孔子とは45歳くらい離れているメンバーだね」

「そうなるとお孫さん世代ですかね?」

「そうかもね。彼らはお互いが、自分こそが孔子の主張を継承する者だという意識を持つようになったんだろう。結局、孔子亡き後、孔子学団は8つ程度の派閥に分裂してしまったらしい」

「なんだか、寂しいですね。孔子もきっと天上で残念がっていますね?」

「そう思うな。ところで、こういうことは企業にもよくあることだよね。創業者と創業メンバーというのは、お互いに苦楽を共にしているから団結力がある。ところが、創業を知らないメンバーが幹部になる頃には、派閥が生まれて、会社は分裂してしまうなんてことがね」

「なるほど。ウチも気をつけないといけないのかな?」

「御社も創業をしらない若い人が毎年入社しているからね。そういうリスクはないとは言えないね」

「今はすごく皆の距離感が良いと思っているんですけどね。そうか、気をつけます」

「そのためにも、創業のストーリーや社史をしっかりと伝えていくことも大事じゃないかな?」

「なるほど、会社の歴史か。まずは私が調べて、若いメンバーに伝えていくようにします!」


ひとりごと

創業者の意志とは違う形に組織が分裂してしまう、という話はよく耳にしますね。

せっかくの創業の想いを忘れないためにも、創業の物語と組織の歩みをしっかりと伝え続けていくことが重要なのではないでしょうか?

孔子の教えは、幸いにして曽子が継承し、孟子へと受け継がれて今日まで継承されてきたことを、我々はありがたく受けとめねばなりません。


【原文】
南軒・東萊(とうらい)は朱子の親友なり。象山・龍川は朱子の畏友なり。後の学者は、黨を分ちて相訟(うった)う。恐らくは朱子の本意に非ず。〔『言志晩録』第37条〕

【意訳】
張南軒・呂東萊は朱子の親友である。陸象山と陳龍川(りんりゅうせん)は朱子の尊敬する学友である。後世の学者達は、派閥をつくって互いに論争している。これは恐らく朱子の本意ではないであろう

【一日一斎物語的解釈】
始祖がせっかく作りあげた組織(集団)を後世の者が互いに争って崩壊していくことを、始祖はどう考えるだろうか? 安易な派閥争いをする前に、よく考えておくべきだ。


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