半期決算を前に、O社の主力製品が出荷止めとなり、J医療器械も大騒ぎとなっているようです。

「ここに来て、O社のすべてのモニターが出荷止めとなったようです。まだ、詳細な情報は降りてきていないのですが、モニターがないとシステムで納品ができないので、売上が来期にずれ込む案件がかなり出てきそうです」

本田さんが神坂課長に報告しています。

「おいおい、ちょっと前にもスコープが止まって大騒ぎをして、ようやくなんとか目途がついたというのに、今度はモニターかよ!」

「案件ベースで3千万円くらいあります。これが全部来期にずれ込むと、営業2課としての計画達成ができません!」

「そうだよなぁ。ちょっと部長に相談してくるわ」

神坂部長は佐藤部長の部屋を訪ねたようです。

「ということで、またまた雲行きがおかしくなってきました」

「次々に試練が訪れるね。O社さんは全国でこの対応に追われるんだろうから大変だろうね」

「そうですけど、O社の心配をしている場合じゃないですよ! ウチもかなりヤバイですから」

「かつて陸象山という人は、『自分の身の回りで起きた出来事については、すべて自分で責任をとる』と言った。ここは、我々にできる最善の策を打つしかないね」

「私は、部長が慌てる姿をみたことがないですよ。すごいよなぁ」

「慌てても何かが解決できるわけではないからね。まずは、案件先のご施設に事情を説明しに行くことだね。その上で今期中に注文をもらえるにはどうすべきかを考えるしかない」

「わかりました。メンバーに状況を確認して、必要に応じて私も同行します」

「私も同行するから、手が足りなければ遠慮なく声をかけてください」

「ありがとうございます。部長がそうやってどっしりと構えていてくれると安心できます」

「神坂君も営業部のメンバーからそう思われるように精進しないとね」

「そうですね、これこそ自分に課せられた試練なんでしょうね。自分で解決するしかないんだよな。人任せにすれば、主導権は他人に移ってしまいますから」

「そのとおり! では、頼んだよ」

「お任せください!!」


ひとりごと

自分の周囲で起きた出来事は、自分で解決できるようになっている。

小生は、陸象山の言葉をそのように理解しました。

他人に矢印を向けたところで、物事は解決しません。

いま自分にできる最善策は何かを考え、とにかく行動するしかありません。

動けば、流れが変わります。

その流れを自分に引き寄せるしかありません!


【原文】
象山の「宇宙内の事は、皆己分内の事」とは、此れ男子担当の志是の如きを謂う。陳澔(ちんこう)此れを引きて射義を註す。極めて是なり。〔『言志晩録』第38条〕

【意訳】
陸象山は、「この世界の出来事は、すべて自分の天分のうちにある」と述べているが、これは男はすべて自分自身で責任を取るということを言ったものであろう。元代の学者である陳澔はこの言葉を引用して『礼記』射義篇の章句に註をつけている。極めて適切なことである

【一日一斎物語的解釈】
仕事をする上では、「自分の身の回りで起きた出来事については、すべて自分で責任をとる」、という覚悟で臨むべきである。


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