今日の神坂課長は、営業2課の本田さんと同行しているようです。

「最近、石崎のやつが突飛なことばかり言うんですよ」

「へぇ、たとえば?」

「昨日は、いつまでも出待ちの営業をするのではなく、もっとITを活用すべきだとか言ってました」

「あながち間違ってないんじゃないの?」

「しかし、我々の業界でWEB面談ツールを使ってドクターと商談をするなんていうのは考えられませんよ。足繁く通った営業が評価される業界ですから」

「まあな。でもさ、他の業界ではそういう営業が一般化しているんだろう? たしか、インサイド・セールスとかいうらしい。欧米ではすでにセールスの40%がインサイド・セールスだって、相原会長が言ってたぞ」

「それはソフトウェアとかの業界の話じゃないですか?」

「本田君もやや頭が固くなってきたんじゃないの?」

「えっ?」

「一般的な意見じゃなくて、突飛な意見だからダメだという発想は危険じゃない? 世の中はすごいスピードで変わっている。たぶん10年後にはIT化されていない医療機器なんて無くなるんじゃないかな?」

「まあ、それはそうでしょうけど。それと営業とは違うような気が・・・」

「俺もちょっとインサイド・セールスについては調べてみるよ。どうせなら業界で最初にチャレンジする企業になりたいじゃないか!」

「神坂課長は、相変わらずチャレンジャーですね」

「それが俺の取柄だ。もちろん危険な側面でもあるけどね!」


ひとりごと

何か新しいことを実施しようとすれば、かならず抵抗勢力とぶつかります。

彼らは、前例がないことを盾にチャレンジを阻止しようとします。

しかし、前例がないことをやるからこそ、ブレイクスルーが生まれます。

いつまでも柔らかい発想を持ち続け、若い人の意見を素直に聞けるビジネスマンであり続けましょう!


【原文】
独得の見は私に似たり。人其の驟(にわ)かに至るを驚く。平凡の議は公に似たり。世其の狃(な)れ聞くに安んず。凡そ人の言を聴くには、宜しく虚懐にして之を邀(むか)うべし。苟(いやし)くも狃れ聞くに安んずる勿(な)くば可なり。〔『言志晩録』第55条〕

【意訳】
その人独自の見解というのは私見のようにみえる。人はそれを突然聞いて驚いてしまう。一方、世間一般の議論は公的な見解のようにみえる。世間は聞き慣れていることで安心するものである。概して人の意見を聞く際には、虚心坦懐な心で相対するべきである。仮にも慣れ親しんだ意見に安心するようなことではいけない

【一日一斎物語的解釈】
他人の独自の意見を一般論でないからとはねつけてはいけない。人の意見を聞くときは、私見を捨て、虚心坦懐に胸襟を開くべきだ。


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