今日の神坂課長は早めに仕事を終えて、大型書店にやって来たようです。

「多田先生が勉強すると言っていた『呻吟語』って、どんな本なんだろうな。あ、あった」

神坂課長は、『呻吟語』を要約した文庫を手に取っています。

「なるほど、たしかに勉強になりそうな本だなぁ。あれ?」

同じ古典コーナーにおいてあった『葉隠』の解説本にも目がいったようです。

「そうそう、これも読んでみたいと思っていたんだよなぁ」

その後、『孟子』、『荀子』、『万葉集』などの解説本を次々に手に取り、あっという間に30分近い時間が過ぎています。

「おお、もう30分も経ったのか。本屋にいると時間が経つのが早いな。さて、今はどんなビジネス書が売れているのかチェックしておこう」

神坂課長は、今週のランキングのコーナーに移動したようです。

「へぇ、ナイツの塙が本を出したのか。どんな本だろう」

漫才師ナイツの塙さんの『言い訳』を読み始めました。

「これ面白いな。この本は買って、休みの日にじっくり読もう」

今度は売れ筋の本を次々に物色しているようです。

「この本も視点が面白いなぁ。これも買おうかなぁ」

『Think CLVILITY 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』という本を手に取って迷っています。

「うーん、悩むなぁ。本は1冊づつ買って読めと森信三先生が言っているらしいしなぁ。あれ、なんだこれ」

平積みされている『リーダーとして論語のように生きるには』という本に目が留まったようです。

「『弟子規(ていしき)』なんて本があるのか」

『弟子規』とは、中国の清の時代に編纂された、日常生活の規範について説かれている儒学の基礎的な教材のようです。

「へぇ、これは超基本的なことが書かれているけど、俺にはちょうど良いかもな。中国でも100年くらい前までは児童向けの教本だったものが、最近になって見直されはじめたと書いてある」

この『弟子規』という書は、日本ではほとんど知られておらず、解説本が出るのも初めてのようです。

「流行の本を追いかけるのもいいけど、こうやって長く読み継がれてきた本物の本を読みたいよな。しかも儒学の教本だというし、これを買って、書かれていることを一つでも多く実践してみよう」

結局、神坂課長は、『言い訳』と『リーダーとして論語のように生きるには』の2冊を購入して書店を後にしました。

「この俺が本屋で1時間以上も本を物色するなんて、10年前の俺が知ったら腰を抜かすだろうな」


ひとりごと

小生も週に一度は必ず大型書店によって、売れ筋の本をチェックしています。

書店にいると時間の経過が早いのには驚かされます。

先日もある大型書店で『リーダーとして論語のように生きるには』という本を読んで、即買いしてしまいました。

貴重なお小遣いをどんな本に投資するかは、小生にとっては大変重要なことです。

しかし実は、転職をして大型書店が近くにない会社に移ってしまったので、すこし寂しさを感じている今日この頃なのです。


【原文】
清初、考処の学盛行す。李二曲(顒)・黄黎洲(こうりしゅう)(宗義)・湯潜菴(斌)・彭南畇(定求)・彭樹蘆(士望)の諸輩、竝びに此の学に於いて見る有りと為す。要するに時好と殊に異なり。学者其の書を読みて以て之を取舎するを妨げず。〔『言志晩録』第65条〕

【意訳】
清朝初期に考証学が盛んとなった。李二曲・黄宗義・湯潜菴・彭南畇・彭樹蘆等の学説については見るべきものもある。彼らの学説はその時代の好みとかなり異なっている。学問をする者は、その書を読んだうえで、よく取捨選択すべきであろう

【一日一斎物語的解釈】
新しい知識を得るために本を読ぶ際は、売れ筋の本ばかりでなく、長く売れ続けている本物の本を選び、その中身についても、自分なりの視点で吟味採用して実践に活用するとよい。


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