今日の神坂課長は、営業部と総務課とのミーティングに出席しているようです。
「当社も遅ればせながら、来期早々にはスマホを導入します。さらに、SFAも導入して、情報共有や社内データの一括管理を進めます」
大竹課長がプレゼンをしています。
「ようやくウチもスマホが持てるのか。みんな喜ぶでしょうね」
大累課長です。
「SFAはどこの会社のものを採用するの?」
佐藤部長です。
「はい。セールス・フォーカス社のものを採用予定です」
「日本でも一番導入されている会社だね」
「そうです」
「それが入ると、営業マンの仕事は増えそうだなぁ」
「神坂君、SFAの必要性をしっかりと理解し、メンバーを説得するのが課長の仕事じゃない」
「タケさん、それはそうなんだけどさ。そういうものには、営業マンはやっぱり抵抗があるんだよね」
「神坂君、どれだけ素晴らしい武器を持たせても、皆の心がひとつになっていなければ、その武器を使いこなすことはできないよね。まずは3人の課長がしっかりとSFAの必要性を理解し、それからメンバーに説明して理解を求めるのが良いだろうな」
「部長の言うとおりですね。このままだと石崎あたりが面倒くさいと言ってきたときに、私も思わず同意しそうですから。(笑)」
「神坂君、それは勘弁してよね! 敵は内にありだな!」
「タケさん、わかってるって」
「大丈夫かなぁ?」
ひとりごと
どれだけ製品性能で差別化できても、あるいはどれだけ高い営業技術を持っていても、必ず競争に勝てるわけではありません。
小生の属する医療機器業界では、営業はチームセリングが基本となります。
もちろん、個の力を高めることは重要ですが、やはり団結力、組織力が高いチームが勝利を手繰り寄せます。
先日行われたラグビーワールドカップ日本代表のキャッチフレーズだった、『One Team』を目指す必要があるのです。
【原文】
海警は予め備えざる可からず。然れども環海の広き、其れ以て尽く防禦を為す可けんや。固く民心を結び以て金城湯池と為すに若くは莫し。沿海皆能く是の如くば、外冦は虞と為すに足らず。然らずんば、数万の巨熕(きょこう)を設くと雖も、亦以て冦戎(こうじゅう)に資するに足らん。益無きなり。〔『言志晩録』第114条〕
【意訳】
海辺の警備はあらかじめ防備の体制を敷いておく必要がある。しかしながら、海岸線は広大であり、すべてを防禦し尽すことはできない。そこで、人民の心をしっかりと団結させ、堅きこと金のような城、近寄れぬこと熱湯のごとき濠水のようにしておくことに優るものはない。沿海がすべてこのようであれば、外国の侵略軍を恐れることはない。逆にそのようでなければ、数万基の大砲を設置しても、外国の侵略者を助けることになる。まったく無益なことである。
【一日一斎物語的解釈】