今日の神坂課長は、A県立がんセンター消化器内科の多田先生のところにいるようです。

「多田先生、『攻撃は最大の防御なりと言いますが、組織として守りを固めるのは難しいですね」

「なんだ、神坂。お前らしくない弱気な発言じゃないか」

「若いころの私は、とにかくイケイケで、攻めていれば守らなくてよいくらいに考えていました」

「たしかにそんな感じだったな」

「はい。しかし、今は攻めるべきは攻め、守るべきは守るという臨機応変さが重要だと気づいたんです」

「今更か?」

「私はバカですから。経験からしか学べないもので・・・」

「競合他社にやられているのか?」

「やられっ放しというわけではないですが、勝ったり負けたりです。しかし、競争をすればするほど、利益は減っていきます」

「戦えば必ず兵力は消耗するからな。やはり、戦わずして勝つことを考えないとな」

「はい、最近はディーラー業の限界を感じるんです。何か違う土俵を見つけないといけないのでは、と思いまして」

「ブルーオーシャンか。そんな夢みたいな市場があるかねぇ?」

「簡単には見つけられないと思いますが、頭をひねってみます。それより、今は当社の強い施設をしっかり守らなければいけません」

「守ろうとすると、どうしても意識が後ろ向きになりがちだ。守りを固めるときこそ、メンバーの心をひとつにしなければならないぞ!」

「はい!」

「そのためには、リーダーであるお前が率先垂範で先頭に立つしかない。部下の誰よりも働いて、メンバーの心を動かすんだ」

「そうですね。守ろうと思うと私は気持ちが乗らないので、当社の得意先との関係をさらに強化するという意識で活動しています」

「それで良いんじゃないかな。それこそ、『攻撃は最大の防御なりを地で行くことになるからな」


ひとりごと

現在の医療機器業界は、パイの食い合いです。

今後益々医療機関の数は減っていくことが予測されるため、さらなる過当競争にさらされるでしょう。

パイを奪い合うために、新規施設や新規市場の創造を図る必要がある一方で、現在の得意先を失わないように防御を固めなければなりません。

リーダーは積極的に守るという難しい仕事を率先して進めていかねばならないのです。


【原文】
士気振わざれば、則ち防禦固からず。防禦固からざれば、則ち民心も亦固きこと能わず。然れども、其の士気を振起するは、人主の自ら奮いて以て率先を為すに在り。復た別法の設く可き無し。〔『言志晩録』第115条〕

【訳文】
兵士の意気が振わなければ、防備は堅固にはならない。防備が堅固でなければ、人民の心もひとつになることはない。しかしながら、その士気を振い立たせるためには、人の上に立つ人が自ら発奮して率先垂範することが必要である。これ以外に別の手法はありえない

【所感】
組織のメンバーを奮起させるためには、リーダーが自ら率先垂範する以外に方法はない。


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