今日の神坂課長は、営業2課の月次ミーティングを開催しているようです。
「最近、F社は捨て身の攻勢を仕掛けてきているな」
「まともに付き合ったらお互いに利益を失うだけですよ」
本田さんも頭を抱えています。
「一度、ウチとF社との彼我分析をしっかり行ってみよう」
営業2課のメンバーは、各自の情報を持ち寄り、J医療器械とF社との彼我分析を行ったようです。
「やはり内視鏡に関する専門性ではF社が上ということだな。ただし彼らは各営業マンがバラバラに活動している」
「ウチはチームで動ける強みがありますね!」
石崎君です。
「そうだな。それにウチには各施設の院長先生や理事長との長年のコネクションもある」
「9月に厚労省が、『再編統合についての議論が必要』としてリストを開示した424病院の経営陣は、かなり風評被害を被っているようですから、今こそディーラーとして何ができるかを考えるべきですね」
山田さんです。
「そうだね。チームの団結力と病院上層部とのコネクション、これが当社の強みということだ。部長と俺たち3人の課長は手分けをして懇意にしている経営層に接触してみる。肌感覚で、何ができるかを模索してみるよ」
「よろしくお願いします。我々は安易な価格競争に引き込まれないように、現場との一層の関係強化を図ります!」
「本田君、みんな、よろしく頼むぞ!」
「はい!」
ひとりごと
日本国内だけを市場とする企業にとっては、ほとんどの業界が大きな成長は望めず、パイを食い合う状態が続くでしょう。
医療業界でいえば、、一方で病院統廃合への動きが急ピッチで進められており、益々パイが小さくなることが予測されます。
そうした中で、医療におけるトピックスとなるのは、AI(ICT)、ゲノム、ロボットの3つです。
すでに医療の世界でも、「AIを使いこなせない医師は、AIを使いこなる医師によって淘汰される」と言われ始めました。
同じようにAIを仲間にできないメーカーやディーラーも淘汰される時代がすぐそこに来ています。
【原文】
海防の任に膺(あた)る者は、民和を得るを以て先と為し、器械は之に次ぐ。又須らく彼此(ひし)の長短を校(くら)べて、以て趨避(すうひ)を為すべし。尤も釁端(きんたん)を啓きて以て後患を貽(のこ)すこと勿きを要す。〔『言志晩録』第116条〕
【意訳】
海岸防備に当たる人は、まず民の心を和することを優先し、兵器類の整備はその後の問題である。あらゆる面で敵との彼我分析を行い、互いの長所・短所を比較して、何を取り何を捨てるかを決定すべきである。とはいえ、まずは争いの発端を開いて、後々まで憂いを残すようなことがあってはならない。
【一日一斎物語的解釈】