今日の神坂課長は、久しぶりに相原会長と食事をしているようです。

「神坂君、最近の調子はどう?」

会長、それは仕事の質問ですか? それとも・・・」

「ギャンブルに決まってるじゃない!」

「やっぱり・・・。まあまあですかね。この前の阪神のG1は外れましたが、その後に香港で開催されていた競馬の馬券を買って当たりました」

「おお、相変わらず手広くやってるねぇ。僕は最近は絶好調だよ。阪神も3連単を当てたからね」

「すごいなぁ、あれ800倍くらいありましたよね?」

「うん。500円買ってたから、40万円くらいの払い戻し」

「マジですか? 掛け金がハンパないですよね」

「そう。だから当たれば大金が入ってくるけど、外れるとけっこうなダメージだよ」

「まあ、会長は意外としっかりお金のマネジメントはできますものね」

「意外と、は余計だよ!」

「マネジメントといえば、新美のところは個性的な部下が多いので、相当悩んでいるみたいです。たまには声をかけてやってください」

「ああ、そうなの? 新美君のところに限らず、ウチは個性的な連中が多い会社だとは思うけどなぁ・・・」

「その嫌な感じの目つきで私を見るのをやめてもらえます? 酒がまずくなりますから!」

「ははは。新美君は真面目だもんね。誰かと違って」

「それは否定できませんね。よく頑張っているとは思いますよ」

「でもね、個性的な部下をしっかりと活用できてこそ、真のリーダーだよね。佐藤君がなによりすごいのは、神坂君とか大累君をちゃんと立派な営業マンに育てあげたことだと思うよ」

「そ、それも否定できませんね。営業マンどころか、二人ともマネジャーになりましたから」

二流のマネジャーは、部下の欠点ばかりを指摘してしまう。佐藤君は、神坂君と大累君のそうした点には目をつむり、優れた点を引き出して伸ばしてきた」

「たしかに、あまり欠点を指摘された記憶がないです」

「欠点を指摘しなくても、良い点を伸ばせば自然と欠点は修正されていくものなんだね。佐藤君はそれを私に教えてくれたよ」

「能力をよく見極めて、適材を適所に配置しているということでしょうか。やっぱり、佐藤部長はすごい人ですよね」

「そんな立派な上司がすぐ近くにいるんだから、神坂君も少しでも近づかないとな!」

「はい。相原会長、今の話をぜひ新美に話してあげてください」


ひとりごと

本物のリーダーの下では、どんな人材も活かされる。

裏を返せば、自分の部下が活躍しないのは、リーダーが長所を活かす場を与えていないからだ、となります。

小生も52歳になって、もう一度転職してマネジメントをやっています。

すべてのメンバーが楽しく活躍してもらえる場をどうやって与えていくか?

そのためには、メンバーの個性をしっかりと見定めることが先決のようです。


【原文】
物、所を獲る、是を治と為し、事、宜しきに乖(そむ)く、是を乱と為す。猶お園を治むるがごときなり。樹石の位置、其の恰好を得れば、則ち朽株敗瓦(きゅうしゅはいが)も、亦皆趣を成す。故に聖人の治は、世に棄人(きじん)無し。〔『言志晩録』第129条〕

【意訳】
適材が適所にあれば世の中は治まっているとみることができる。事が適正な状態から外れているときは乱れていると言える。それはあたかも庭園を整備するかのごときものである。樹木や石が見事に配置されていれば、朽ちた木の株も、割れた瓦でさえも趣きを添えるものとなる。よって聖人の治世にあっては、不要な人材など無いものだ

【一日一斎物語的解釈】
本物のリーダーの下では、すべての人が適所を得て活躍できるものだ。


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