今日の神坂課長は、大累課長とランチをしているようです。

「神坂さん、重要案件の決断って難しいですよね。何を基準にしたら良いんでしょうね?」

「俺が課長になったときに、佐藤部長から言われたのは、蛮勇だけはダメだということかな」

「蛮勇?」

「野蛮な勇気、つまり無鉄砲で一か八かの賭けをするような決断だろう」

「なるほど、神坂さんには最高のアドバイスですね」

「やかましいわ! お前もそう変わらないだろう」

「大事なことは、損得より善悪ということなのかなぁ」

「そうだな。自分たちが得をすることを考えるより、お客様のお役に立てるかどうかを基準にすべきだろう。それが義、つまり大義名分を基準にするということだな」

「それが長い目でみれば、自分たちの繁栄にもつながるわけですね」

「そう、俺たちの仕事は慈善事業ではないから、完全に見返りを求めないで働くことはできない。せめて短期ではなく、中長期の見返りを求めて活動するべきなんだろう」

「そういうことになりますね。あとはそこに経験という基準を加えるという感じですかね?」

「おお、お前も成長したな。それが智だろうな。経験や先人の知恵みたいなものを総称して智と捉える。義・智・勇の3つのバランスが大事だと一斎先生も言っているんだ」

「やっぱり、俺は生まれながらの天才なのかな?」

「お前が天才かどうかは別として、義と智を基準にして決断を絞り込み、最後の迷いは勇気で吹っ切る、これが決断の鉄則だな」

「へぇ、神坂さんはそうしているんですか?」

「意識はしている。でも、いまだに蛮勇が顔を出すこともある」

「よっ、それでこそ我らがカミサマ!」

「ゴン」

「痛っ」


ひとりごと

決断に際しては、義・智・勇を基準とせよ、と一斎先生は言います。

智と勇は、得てして相対することが多くなります。

智は慎重になり過ぎる弊害を生み、勇は蛮勇になりがちです。

そんなときは、義で最終決断を下すと良いのかもしれません。


【原文】
果断は義より来る者有り、智より来る者有り、勇より来る者有り、義と智とを并(あわ)せて来る者有り、上なり。徒勇のみなるは殆(あやう)し。〔『言志晩録』第159条〕

【意訳】
思い切って実行するための決断には、義(正しい道)を基準とする場合や、智慧を必要とする場合や、勇気が必要な場合がある。さらに義と智慧とを合わせて判断する場合があり、それが最上といえる。勇気だけで決断することは非常に危険である

【一日一斎物語的解釈】
物事を決断する際の基準には、義・智・勇の3つがある。この3つのバランスをよく考慮して、最終決断を下すべきである。特に義と智のバランスは重要であり、勇だけで決断することは厳に避けねばならない。


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